43.花に願う

『彼氏と長続きしますように』


 ハッ。薄っぺらな願いをのせた短冊を横目で見て、素通りしながら私は思う。ゴールを見据えてる時点で、試合終了。破局予備軍。ご愁傷さまデスネー。


 きのう、付き合っていた彼氏と別れた。おれ季節の変わり目は不機嫌になりやすいからさ、そこんとこよろしく。我慢できなかった私が悪いんだろうけど。


 まだこの世にない色の花を交配して、あたらしい花言葉をつくりたい。自分の研究を誇ると同時に、夢を語ったあの時の目の輝きは私に向けられたものじゃなかったのかな、と思いながら、最後に渡された花を調べる。


 エーデルワイス:大切な思い出

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る