39.々

 おまえって誰かのコピーみたいな人生だな、と言われた。その読み方をわかってもないのに、わかった気になって、それに満足して、繰り返し続ける。それでいいのか、と。


 香莎々木かささぎ 奈々香ななかさん。


 病院の待合室で、自分の名前が呼ばれるときにいつも、思う。

 笠鷺ならよかった。嵩佐木なら、まだ「佐々木」に近いからよかった。


 々という漢字を出したいとき、多くの人が「佐々木」と打つだろう。佐々木から分化したような名前でしかない私は、あゝ──、コピーだなと思う。

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