第3話 春が終わる
春が終わると次に梅雨が来るので
桜が散り、酒を片手に、団子を食べて
春が終わると次にひなげしが咲くので
カーディガンを羽織り、眩しさに目を瞑り
もうすぐ春が終わるので
寂しがりの酔いどれたちは夜へ向かう
まばらに木蓮の花びらが石畳の上に広がって
噴水のあたりで煙草を嗜む
春が終わると次に行こうと言う奴が現れる
そいつは梅雨が終わるまで滞在して
私を揺らがし、私を淘汰し、私を惨めにする
梅雨が終わり夏が来れば、それはそれでじめじめといじめる
春がもうすぐ終わるので
花びら舞っているうちに出来る事を数えてみる
私に出来てこれからも続けられる生活の
音をひとつずつ数えてみる
もうすぐ春が終わる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます