第30話 執事様

ギルドマスターに領主様のことを押し付けて3日後、またもや傭兵ギルドの本部へ呼び出された。今日はレイとナインのみでの呼び出しだ。カルアの参加も断られた。


嫌な予感がしつつも仕方がないため部屋に入る。するとギルドマスター以外にも人がいた。

「初めまして。私は領主様の執事をしているセバスと申します。以後お見知りおきを」

レイはギルドマスターを睨む。

「俺が連れてきたんじゃないぞ。押しかけられたんだ。土地の貸与もしくは購入の話をしたら私が直接伺いますの一点張りで」


レイは次にセバス様の顔を見る。

「大丈夫です。領主とは名ばかりで実務はすべて私が取り仕切っております。相談内容を聞くとどうも私が出てきた方が早く解決すると直感がささやいておりましたので」


レイは諦めて計画をすべてぶっちゃけることにした。

まず料理店の話だが、土地は貸与ただし条件に見合う物件が現状ないため、新規建築となること。賃貸料は月に大銅貨5枚。建設費用は領主持ち、ただし責任者は領主の館から秘書を1名派遣することを条件とされた。レイはこの条件に合意した。


2つ目に干し肉に関しては、こちらも土地を貸与しお店とすること。賃貸料は月に大銅貨1枚。専売については許可するが、許可する人の査定は領主側で行うこと。こちらも責任者は領主の館より文官を1名派遣することを条件とされた。レイはこれに対し、現在専売を許可している人には変わらず許可を与えること。認可賞にはドッグタグを使用することを条件に追加し合意した。


3つ目は相談になるがホーンラビットの牧畜に関してだ。料理店での肉の使用量、干し肉の作成料、傭兵ギルドの狩猟量を説明し全体的にホーンラビットの肉が安定供給不可欠なことを説明した。そして、ホーンラビットの角を折った場合どうなるかの研究についても。

その結果、ホーンラビットの研究には領主館から人を派遣すること。牧場に関しては城壁外に牧場を作成すること。牧場の責任者はレイであることを条件とされた。これに対し、レイは牧場の責任者を辞退した。代わりに牧場の責任者は領主館から1名派遣することとなりその条件で合意した。


4つ目に警備員や作業員としての街民の雇用について話を進めようとしたが以上の産業で多くの人手が必要になるとのことでそこは責任をもつので任せてほしいと言われた。


以上で現状の問題点は解決できるとレイはほっとしていたがセバス様の目がきらりと光る。

「レイ様、私の部下になりませんか。あなたには人の上に立つ能力があります。」

とセバス様よりスカウトされたがレイは笑顔で断った。


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残金:大銅貨30枚 銅貨72枚

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