実録!いいねおじさん24時ッ!
イケオジ度はいいねした数で決まる
私は池大路 善禰(46)
今日もネットの海から流れ着く投稿を求め、SNSという名の浜を彷徨い歩くのである。
さて。朝、まずはおはようの起床挨拶から始まり、その流れでささっと見ていくのである。
最近の流行りは「jkの弁当日記」だ。
彼女は中学生の弟に弁当を作り、それを毎朝投稿しているのである。
初めは冷凍食品しかなかったおかずだが、日を重ねるごとにお手製のおかずが増えてゆき、彩りも豊かになっている。
今日投稿されたのは一口サイズに切った鶏ささみや通称無限ピーマンなるツナとピーマンの和物など美味しそうなものばかりだ。
うちの娘も私に弁当とかつくってくれたらいいのにな…なんて思うのだが…
ま、「キモッ」の一撃必殺で終わるのがオチだろう。
よし、“いいね”っと…
いかんせん単新赴任の身としてはこんなことぐらいでしか手頃な手段での気の紛らわしようがない。
寂しいものである。
昨日の残りの魚の切身を食べながらテレビを見る。
今日の特集はオジサン構文。ってなんで?!
何故そんなものが…
ギャルの間で有名って…
若者の実態はよく掴めない。
流行る、近頃はバズるっていうのかな。そういうもんはそういうもん、流行るものは何が何でも流行るのだ。
ある意味、おじさんって可愛いみたいなことを言う子もいるような世の中だから、女子高生のいち父親である私としては、多様性は大事といえど多少は心配になるのである…
テレビの画面のギャルタレントが続けて喋る。
「こういう感じでーマジでかわユザレって感じでー語尾のネとか絵文字のくどい感じとかが超いいんっすよ!最近はこういうのうpして、いいね配布おじさんに“いいね”してもらうのが界隈で流行っててー」
「いいね配布おじさん?」
ほかのタレントの疑問にギャルが答える。
「そうなんすよ!いいね配布おじさんっつーのは、いいねをすることで自分がいかにネット父性があるかって競い合ってるおじさんたちの界隈なんっすよ」
「へー」
へー。タレントと同時に声を出す。
……………いや!これだ!
私、いいね配布おじさんになりますっ!
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