耽美への道 その1




 耽美系と言えばいいのだろうか。美少年小説とか美少年漫画とかいうべきか。初期の頃はこういう感じで呼ばれていたかもしれません。


 初めて触れたのは、小学生の頃かな。台風で床上浸水した時子供は邪魔だから〜って叔母の家に行かされていたことがあるのですが。そこで暇つぶしにと週刊少女コミックスを買ってくれたんですよね。今でも覚えているのは、そこで連載されていた竹宮恵子さんの『風と木の詩』です。ちょうど主人公の一人に違いないジルベールの幼少時の話でパリに出てきたばかりの頃のエピソードでしたね。子羊革の靴のほうが柔らかくていいとかどうとかって遣り取りとか、遊園地? ですれ違った子供に変な顔をされてびっくりしたあどけない表情のジルベールとか。いや、うん。ノックアウトされましたよ。ジルベールという存在に。何年も後になって、『風と木の詩』コミックスを購入しまして、まさかそういう話だとは思わなかったものでびっくりしたものです。冒頭の詩がのあとはそういうシーンから始まってましたからね。

 え? って思っちゃいましたよ。でも、引かなかったですね。その頃には同じく竹宮さんの『変奏曲』とか萩尾望都さんの『トーマの心臓』や『ポーの一族』、もちっとダイレクト気味の青池保子さんの『イブの息子たち』を読んでいたので耐性ができていたのだと思うんです。当時は月刊プリンセスを読んでましたしね。目当ては『悪魔の花嫁』と『王家の紋章』、花郁悠紀子さんでやっぱりなんか惹かれてた『イブの息子たち』メインでしたけど。


 『変奏曲』は一応「ホモセックス」という単語が登場しましたが、ダイレクトにそういうシーンはなかったので、わからずスルーしたのだと。なんせ小学生の頃でしたからね、やっぱり。これも主人公の一人エドナンがそういう対象としてみなされてたんだけど、一掃してその時の暴力事件で退学になって〜ってエピソードがね、あったんですよ。思わせぶりなシーンはありましたが、最近読み返していないので間違ってるかもしれませんけれどね。


 『トーマの心臓』は、難しかった。特にまだ中学一年になったかどうかの時に読んだので、雰囲気で読んだ記憶が。なんたって、『ポーの一族』を買ったつもりで間違っちゃってたんですよね。ロマンティックな吸血鬼の話のつもりでページを開いたら理解できない難しい話でしたから。とにかく、そこまで悩むことなんかな? って思ったような記憶はあるんですよね。


 『イブの息子たち』は〜ある意味ファンタジーなBLのはしりです。ヴァンローゼ族と言う天使のミスで誕生した一族がありまして、男同士で子供を産んだりするんですよね。そのはぐれの血族のヒース、バージル、ジャスティンって複雑な三角関係の三人組が主人公のコメディかな? ギャグかな? コミックスの説明には「はちゃめちゃコメディ」とかってあった記憶がありますが。うろ覚え。とにかく女性ばかりの一族(こちらは男性に肉食的な想いを寄せるんですが)との対立とかあったり。ヴァンローゼの男たちはまぁvv


 花郁悠紀子さんは短編がメインの方でしたが。基本的に現代日本舞台の話からちょっと不思議な話からファンタジーやSFまで手掛けてらっしゃいましたね。波津彬子さんのお姉さんでしたが。とっても好きでした。亡くなられた時ショックでしてね。その方の短編にも結構男性同士の話があるんですよ。思わせぶりというか淡い思いというか、胸に秘めすぎてこじらせてしまった系がメインですけれどね。切なくて綺麗でミステリアスで、時々ズキズキくるくらい冷たい話とかあったり。小学生時代だったこともあってかなり影響受けたと思いますね。この方の話をリアルタイムで読めたことは月刊プリンセスに感謝です。ズレちゃいましたけど。


 で、まぁ、竹宮さんやら萩尾さんやら読み耽りましたねぇ。中学高校時代。その上、当時読んでた漫画雑誌は、美少年もの花盛りになる途上だったはずの『花とゆめ』。魔夜峰央さんの『パタリロ』とかね。多分まだ『ツーリングExp.』連載されてなかったはず。はそりゃあそういう世界に嵌まりますよ。でも本格的になっちゃったのは、高校時代、小説JUNEに出会っちゃったからですね。


 所謂、運の尽き!


 これで嵌まらなければ、ここまで性格いえ、読書傾向やら嗜好が拗れなかったでしょうがvv こじれた拗れた。


 初めての小説JUNEは2号でしたね。1号は残念ながら。表紙が竹宮さんだったからなぁ。剰え? なんか読む本ないかな〜とうろついていたのがネックですね。

 タイトル忘れましたけど、江戸時代の京都だったかな? そこの呉服屋さんの跡取りがお武家に陵辱されて道を踏み外しましてね、なんだか事件を起こして島流になるんだけど〜って話。これが印象的だったのよねぇ。作者さんとか覚えてないけれど。


 後は、ずるずるとvv 多分、6号まで小説JUNEには再会しなかったのですが。


 ともあれ、当時の小説JUNEにはJUNEっぽい小説やら漫画の紹介とか栗本薫さんの小説道場(小説JUNEだよね。私はJUNE本誌は読んでなかったし)とかが掲載されてましてね、影響受けるなっていうのが無理っていうものでした。


 長くなりそうなのでここまで。


 

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