3. 考えることはやめにする

3. 考えることはやめにする




 今日も白石はオレの部屋にくる。こいつはなにかと理由をつけて、毎日のようにやってくるのだ。


「お前さぁ……少しくらい遠慮しろよ?」


「えー? だって暇なんだもん。それに彼女の顔を見れて嬉しくないんですか先輩は?」


「お前が彼女なら嬉しいだろうな。でも違うから、もう来るなと言ってるんだ」


「つれないですね~。あ、そうだ! 明日一緒に買い物行きましょう!」


「なんでだよ……」


「デートですよ! デート!」


「はぁ……」


 ため息をつきながら、オレは目の前にある漫画本を手に取り読み始める。白石はソファーに座りながらテレビを観ている。この光景にも慣れたものだ。


「ねぇねぇ先輩ってば!」


「…………」


「せんぱーい!」


「うるさいぞ白石」


「ぶぅ……せっかく彼女が遊びに来てあげてるんですよ!?」


「だから彼女じゃねぇだろ」


「むぅ……」


「なんだよ?」


「なんでもありませーん」


 そう言うと白石はそっぽを向いてしまう。まったくめんどくせぇ奴だ。だがまぁ退屈しのぎにはなるし、別にいいかなとか思ってしまうオレもいる。


 そう考えると一人暮らしだから、白石も寂しいのかなとか、余計な事を考えて強く言えない。


「ねぇ先輩」


「今度はなんだ?」


「今思ったんですけど先輩って……好きでも何でもない女の子を軽く家にあげちゃうんですね?もしかして私の身体が目当て!?」


「バカ野郎。誰がそんなことするかよ。それにその偏見はやめろ」


「偏見?ならやっぱり私のこと好きなんですね?素直じゃないなぁ先輩は!」


 くそっ。こいつの思考は二択しかねぇのかよ?あー面倒だ。オレはもう二度と白石は「寂しいのかな」と考えるのはやめたのだった。

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