第33話

響介は学校が休みの日曜を使って、飲料店ブザーバックスの面接に行ってきた。


緊張でカクついている。こんなんで大丈夫なのか?


ブザーバックスには色んな種類がある。全部覚えられるのか。


行かなきゃ始まらない。足を運んで裏口から入ってゆく。


面接は女性1人だけだった。まず言われたのは、


「あら?目の色が違うわね。コンタクト?」


言われ慣れているので、


「天然です」


「あらそうなの、めずらしいわね。まず座って」


「はい」


俺は事務用の椅子に座る。


「まずどうして、うちを選んだの?」


いきなりマズイ質問が来た。俺は考えてから、


「俺…いや私はこちらの飲み物が大好きでして…それで仕事したくなりました。」


いきなり大嘘をついてしまった。


「何のメニューが好き?」


「あの…抹茶フラペチーノですね」


「そう。あと女性店員が多いけど大丈夫?」


「問題ないです」


「高校生だからバイトは初めて?」


「初めてですね」


女性は立ち上がった。


「以上で面接を終わります。結果は携帯でお知らせします。」


「ありがとうございました!」


意外と早い面接だった。これは落ちた系かなぁ…。


誰かと話したいので、アン子が就業中のネカフェに寄った。


「バイト面接行ったのん?」


「ああ。行ってきた。短かった」


「ウチも短かったのん」


「そうなのか?」


「ダイジョブ、自信持つのん!」


そう言われてネカフェにいる俺は安堵あんどした。


アン子だって頑張ってるんだ。俺だって負けないぜ!


ポジティブにとらえた俺は、そのまま自転車で家路についた。

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