第26話
「…スケ」
「…ョ―スケ」
「はっ!」
俺はすみれに揺さぶらされて目が覚めた。
上半身がはだかである。
「きゃーっ」
すみれは顔を覆ったが、中指のスキマから覗き込んでいた。
暑いから無意識のうちに脱いだんだと思う。
「すぐ着替えるから、すみれも着替えたら?」
「そうね」
アン子がウチの部屋に入って来た。
「ベッドがフカフカ過ぎて、よく寝られなかったのん…」
アン子はあまり眠れてないようだ。
「じゃあ俺はタクシーで射撃場に行くから、お前らはパラソル頼んだぞ!」
「はーい、なのん」
「チビのおもりね…困ったわ」
俺が射撃場につくと、「コンニチワ」と日本語ペラペラなアメリカ人がサポートしてくれた。
耳をふさぐイヤフォンのようなものを装着し、銃を撃った時のリコイル(反動)を抜
く姿勢などを学んだあと、とうとう本物の射撃が始まった。
1発撃つと勢いで銃が上に吹っ飛びそうになった。
「リコイルヲ、ヌク、シセイヲ、タイセツニ」
2、3発撃つとブレもなくなり、射撃精度も格段に上がった。
「ナイス!」
素直に銃を撃てた事に感動し、もう1セット追加した。
ビーチではすみれが泳ぎ、アン子がアイスクリームを食べながらパラソルにちょこんと座っていた。
思いっきり泳いで充分堪能したすみれは、アン子に、
「今度はあんたが泳ぎなさい」
アン子は砂浜に行き、何やら砂浜を掘り出している。すみれは日陰でボーっとしてい
る。かなり時間をかけて掘ったあと、アン子はすみれの所まできて、
「すみれ、ちょっと来るの」
「なによ」
手を引かれるまま、すみれはついていくと、アン子は穴にすみれを押してハマらせた。顔だけが見えた状態で、今度はアン子が砂をかけて顔だけの状態にした。
アン子は目隠しをし、棒を持ってこちらにふらふらやってくる。
「ちょ、ちょっと何しているの?」
アン子は声のする方へ、ゆっくりとだが確実にすみれの方へやってくる。
「あぶない!あぶないから」
そこへアロハシャツの護衛2名がすみれを引き上げる。
アン子は目隠しを取ってホテルに逃げ出した。
「あ~~ん~~こぉ~~‼」
追いかけるように走っていった。
パラソルに誰もいない状態になったとたん、グラサン姿の男がバッグに手を入れガサゴソしてる。
その後ろから頭に拳銃を突きつけて、
「ゲラップ・ヒア」
そういうと男は慌てて逃げていった。危ないところだったが、今日買ったモデルガンが早速役に立った。
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