第21話
部屋に入るなりアン子がベッドに飛び込んだ。
「こんなフカフカなベット初めてなの!」
「子供みたいな事しないでくれる?」
金髪はゴツイ荷物を開けて、色々と探し物をしている。
いいホテルかどうかは、ベットで分かる。
俺もベッドへ腰を沈める。なかなかいい感触だ。
「夕食があるから、いくわよ」
「明日はビーチだなぁ。楽しみだぜ」
「ウチも楽しみなん!」
夕食は肉料理と多種多様なフルーツがいっぱい並んでいる。
「フルーツばかりだな…俺は肉料理をいただくか」
アン子はパイナップルにかじりついている。金髪は色んなフルーツを少しだけ取って、上品に食べていた。
「こりゃ美味いや。あとはゆっくり寝れるな」
俺はフルーツに見向きもせず、肉料理をおかわりしまくって、満足していた。
「満足なの!」
アン子はフルーツを食べて満腹になったようだ。
「もう少し大人っぽく食べる事はできないの?全く…」
金髪はハンカチで口周りを綺麗にしていた。
部屋に戻ったあとは、アン子はスマホをいじっていた。金髪は明日に備えてすぐ眠りについた。
俺はというとベッドのせいか、なかなか眠れず右に左に身体を動かしてはみたが一行に眠れない。
しょうがなくホテルに備え付けたシャワーを浴びて気分転換し、またベッドに戻ると眠気が襲ってきた。
22
今日は、いよいよビーチに行って海水浴を楽しむ1日だ。
「もう着替えた?」
そう言う、すみれはビキニ姿で、結構攻めてる感じなので正直美しい。ナンパが心配になるほどだ。
俺はトランクスのような、特に面白くない恰好だ。
「アン子はどうだ、着替えたか?」
アン子は学校のスク水だった…胸の辺りに自分の名前が書いてある。
「ぎゃははっ何その恰好!超~受けるんだけど!」
水着が無いなら言ってくれたら買ってやるのに…。
「ドーナツ型の浮き輪で安全なの!」
確かに今も浮き輪を装着している。
「スク水はほっといて、早くビーチに行きましょう?」
「3人で行くんだ!」
俺はアン子の手を引いて、そう言った。
外は晴天で、カラっとした熱さだ。すみれはビーチパラソルを借りる為、お金を出していた。
俺がその借りたパラソルを立てると、日陰ができた。
すみれが、日焼け止めクリームを塗りながら言った。
「私がまずここにいて荷物を見てるから、2人とも海水浴を楽しみなさい」
すみれらしくない譲歩をしてきた。
「じゃあ行ってくるぜ!」
「行くのん!」
水がとにかく綺麗だ。大洗海岸のようなドブとは全く違う。
「冷たいのん!」
そう言ってアン子はゆっくり前に進んでいく。ドーナツ型の浮き輪なので、おぼれる事は無いだろう。
俺は【ここまで】という浮き輪まで一気にクロールした。水の中に入ると、トロピカルな魚が沢山泳いでいる。
アン子が俺がいる場所まで迫ってきていたので、
「ダメだアン子!ここまできちゃあ」
そう言ってアン子の浮き輪を押しながら泳ぐ。
「最高に気持ちいいの!」
アン子はのんびりしながら言った。
「浅瀬まできたら、浮き輪はずしてもいいの?」
「浅瀬だけにするならいいぞ」
俺が言う前にアン子は浮き輪を外していた。大丈夫なのかおい。死人は出したくなかった。
「もぐるとすごく気持ちいいのん!」
ビーチからすみれの大声が聞こえる。次の留守番はアン子らしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます