第7話 ジュン・レオン
帰宅すると、僕とベレッタは別れ部屋に入る。
別れる際、毎回入ってこようとするベレッタを部屋に押し込む。
部屋に入ると、妙な気配を感じた。
「ジュンか、何のようだ?」
部屋の影から男が姿を表す。
ジュン・レオン……かつて魔王軍で僕の部隊の一人で、隠密魔法が得意な男だ。
「お久しぶりです、隊長」
「僕はもう隊長じゃない、それより何のよう? 僕は君達に居場所を教えてないはずだけど?」
出ていった後は一切彼らとは関わりを避けてきたのだから。
「僕達を誰だと思ってるんですか? 貴方の居場所は部隊全員知ってますよ?」
「まさか、あいつに言ったりしてないよな?」
言われていたら少し面倒だ、最悪裏切り者として資格を送り込む可能性もある。
「あんなゴミに言うわけないじゃないですか?」
笑顔でジュンがいう……目の奥は全く笑ってないが……。
「ゴミって……一応お前らの主人だろ? そんな言い方……」
「ゴミをゴミと言って何が悪いんですか? 全くあいつときたら隊長……カリオさんにあんな仕打ちだけでなく、僕達にも……」
そう言って彼は今の魔王軍の現状を話してくれた。
魔王軍はカウンになってから恐怖政治が蔓延り、僕の元部下達は特に酷い扱いを受けているらしい。
僕だけでなく、部下にそんな仕打ちをするなんて……。
「すまん」
「いえ、カリオさんが謝ることじゃないですよ……それより、僕個人の忠告をしに参りました」
「忠告?」
「えぇ、この国に魔王軍が侵攻すると決定しました……」
「侵攻? それまたどうして?」
魔王は魔族を統治するために存在する。
だけど、同時に戦争を起こさないことも魔王の役目のはずだ。
「あいつ正気か?」
「僕もそう思います……ですが裏切れば、お前もゼノンのようにしてやるって……」
ゼノンは僕がいた時の魔王序列5位の男だ。
彼は曲がったことが嫌いで、間違った事は仲間であろうと容赦しない男だ。
「ゼノンに何かあったのか!?」
「………殺されました」
………え?
「カウンさんが間違っていると直談判しに行って僕らの目の前で……」
「そうか……」
「あいつは狂ってる……!」
かつての仲間が殺されたとなれば、僕も黙っているわけにはいかなくなりそうだ。
かつての部隊とはいえ、家族同然の彼らをこれ以上見殺しには出来ない。
「なぁ、お前達も魔王軍を抜ける気はないか?」
そういうと、彼は悲しそうな顔をする。
「隊長ならそう言うと思ってましたが……それは、無理です」
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