第26話 仕事は普通じゃない その3
伝説のプレイヤーと対面出来た事をうれしく思う。
だが、これは仕事、いつまでも浮かれている訳にはいかない、今回の大型アップデートの内容はマップの追加だ。
大型と言うだけあり、かなり大容量になる。今迄のマップと同等の...いや、それより広大なマップが追加される。
今回はテストなので、運営の特権をフルに利用しアイテムを渡す。
それこそが、ノーマルマップの裏マップにあたる修羅と言われる世界への移動アイテムだ。
全てのモンスターのレベルが跳ね上げられたエクストラステージだ。
「まさか、これほどとは...」
「とりあえず、草原エリアの敵と戦ってみますね」
カウガールのステータスは平均が80万程を誇る。限界突破してなければステータスの上限は9999。いかにカウガールが規格外か伝わるだろうか...。
そんな彼女が初戦で敗北。
相手はゲーム序盤に出てくる、もはやチュートリアルの様な敵だ。ただ、そのステータスは明らかに異質。
運営の特権でステータスを開示させてみるとそのレベルは驚異の3000。ステータスの平均は500万程。明らかに序盤の敵ではない。
「こ、こんなの無理ですよ~」
「完全にバランス崩れてるわね...」
うむ...明らかにステータスの設定がおかしい...エクストラステージ最初の敵とは思えない。
このゲームをやり込んだ廃人プレイヤーですら赤子の様に捻られる。当然他のプレイヤーが勝てるはずがない。
ただ、これはあくまで、エクストラステージであり、大型アップデートの隠し要素みたいなものだ。
公表するアップデート内容は覇王城の追加だ。
どっかで聞いた事ある名前の城だが...
このゲームには、明確なクリア要素が示されてはいなかった。
各プレイヤーが世界を冒険する、いわば異世界で暮らす事に近い。人生にゴールが無いのと同じ様にゲームにゴールはない、だが...今回のアップデートでゴールが出現する。
それが覇王城の攻略であり、最終目標は覇王の討伐だ。
それは修羅の世界ではなく通常の世界に顕現する。だが、オープンワールドのゲームなので、覇王城が建つエリアに行けばどんな時でも挑むことが出来る。
今回のアップデートの目玉は覇王城なので、ここの検証もしなければならない。
カウガールに指示を出し、エリアに向かうと城門付近に見張りが立って居る事に気付く。
「あれって...」
間違いなくゼルセラさんの部下だ。
桃色の髪に天使の輪、それから目立つ純白の翼。
間違える訳がない、何故ならついさっき送って貰った人に似ているのだから。
ステータスを開示し俺達は思わず笑ってしまう。
「無理だな」
「無理ね」
「無理ですね~」
「むうぅ...」
無理だ。
城門に立つ二人のレベルは9999、ステータスは余裕のカンスト9999万9999だ。
はい。無理です。
全員が苦笑いし嫁は急いでとある所に電話を掛ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます