第4話 友達も普通じゃない!
俺が挨拶回りの仕事中にトラックに積み込んだ...と言い張っていた嫁だが...肝心のトラックがない。
冷蔵庫とか洗濯機とかテレビなど大きい類は先に運んで貰っているはずなので、トラックが到着してなければあるはずがない。
「ちょっと待っててね~今電話するから」
車の中から徐に黒電話を取り出すとプラグをコンセントにつなぐこともせず、ましてやダイヤルを回す事も無く受話器を手に取り、会話を始める。
「もしもし愛菜?頼んでたの出して欲しいんだけど」
「・・・」
「え?仕事で忙しい?すぐ終わるからお願い!」
「・・・」
戸惑う俺達を横目に嫁はせっせと準備を始める。
準備と言うか、どこに何を置くかの構想を練っているのだ。
そこら辺は完全に嫁に任せているのであまり考えないようにする。
「愛菜ってだれなんだ?」
「ん~友達?親戚?とかそんな感じかな~」
「そ、そうか」
新居が怖いのかマイとユイは俺の裾を掴んで放さない...。
少しするとより一層ユイの手に力が入る。
「パパ...」
「ん?どうした?」
ユイがどこを見てるか分からないが非常に怯えている、父親として守らねば....俺に抱えられるカイが突然廊下の先を指さす。
俺が廊下を恐る恐る見てみると...確かに薄暗いが何もない。
「なにも居ないぞ...?」
「パパ...」
娘は震え、息子は興味心に駆られる。
カイは俺の肩を引っ張りあっちに行って欲しいと催促する...。
「わかったわかった...行けばいいんだろ?で、電気はつけるからな?」
「パパ...」
「ユイとマイはここで待ってるんだぞ」
俺は勇気と一緒に固唾をのみこみ薄暗い領域へと足を踏み入れる。
「準備出来たって!!」
突然の声に跳ね上がる肩、乱れる動悸。抜ける腰。泣き出す息子。
「何やってるの?」
「びっくりさせるなよ...」
「ママ...ここ怖い...」
怯えるユイの声色で何かを察したのか腕を組み考える。
「ん~話が通じるならいいけど...最悪愛菜に引き取ってもらうしか...」
何を言ってるんだ...
すると、どこからか声が聞こえる。
「あっ愛菜来たみたい」
嫁の後をついていくとそこには、美麗な女性が居た。
長く綺麗なブロンドヘアーに真っ赤な瞳、それから豪華な衣装?黒を基調とし赤と金の刺繍が施されている。
「久しぶりね」
「まったくだわ、なんで私がこんな役目を...」
「じゃあこんな感じに配置してもらっていい?」
「はいはいわかったわ」
嫁が家の見取り図を渡すと愛菜と言う女性は指をパチンと鳴らした。
それを確認した嫁は家の中を見渡し親指を立てる。
「ばっちり」
「当然よ」
意気投合する二人には悪いが...こっちは置いてけぼりだ...娘達は突然登場した美女に驚きフリーズしている。それに...カイは恋に落ちたかもしれない、赤ん坊の癖に顔を真っ赤にしていやがる...。
この愛菜って人どう考えたって普通じゃない!
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