平均点(タクシードライバー)

どうしてか、嫌いな人は好きになろうと近づき、好きな人からは嫌われたくないとか嫌われてるかもしれないという気持ちのせいで離れてしまう。

苦手なことを普通にするよりも、得意なことをもっと得意なことにする方がいいってことはわかるのに、どうしてもうまくできないのと似ている。なぜか平均点を目指してしまう。

四半世紀の人生のなかで、常に平均点や平均点以上を目指してきた結果、わたしには得意なことも特に仲のいい人も残っていない。離れていく人をそのまま見送ることはできないくせに、近づいてきた人を全員疑っているからかもしれない。

気づくと、人と一緒にいても孤独感があって、ふとしたことで「あ、この人のことはそんなに好きじゃなくて、いまのこの時間は1人でもっと有意義に使えたものだな」などと考えてしまう。傲慢で虚しくて、悲しい。それなのに、大好きな人と一緒にいる時は「これが最後の時間かもしれない」と勝手に落ち込む。そして別れ際に相手に不快感を与えてしまい、知らぬ間に埋められない溝になってしまっていることがある。そりゃあわかる。別れ際に楽しかったな、また会いたいなとただ笑顔で思える相手がいいに決まっている。


別れ際は重要だ。

しつこくても淡白すぎてもいけない。ほどよい後味が必要だ。どうやらわたしはそれが苦手のようだ。


そんな今日の1曲。

ハンバートハンバートで『タクシードライバー』


タクシーに乗って去っていくその人の横顔がこちらを向くことはないのに、いつまでも駅の改札で大きく手を振ってくれた姿を探してしまうのです。

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