勇者パーティー追放された支援役、スキル「エンカウント操作」のチート覚醒をきっかけに戦闘力超爆速上昇中ですが、俺は天職の支援役であり続けます。~稼ぎ放題最強無双・聖女を救い世界を救う・勇者没落今更遅い~
38.支援役ロベル 魔王城守護兵をカンタンに蹴散らす
38.支援役ロベル 魔王城守護兵をカンタンに蹴散らす
城門を開けると、そこは大広間だった。ただただ果てしなく広い。
「誰もいないな。静かなもんだ」
「そうだね。モンスターがいっぱい出てくるかなー、って思ってたけど」
「この城は床もカベも、すべてダーク・クリスタルでつくられてるようですね」
「悪趣味」
俺、サミー、アンリ、トウナ。4人が様子をうかがっていた、その時だ。
『ついに来たか。余に仇なす者どもよ』
広間に声が響いた。
「あんたが……魔王か」
俺の問いに、声は答える。
『左様。余は魔王。『魔王・ナイトメア』』
『これから世界に悪夢を見せる者の名だ』
『せいぜい覚えておくがいい。もっとも……』
『生かして返すつもりはないがね』
魔王は何やらペラペラしゃべり続けているが。
感覚でわかった。
「あんまり強くはないな。これなら俺1人でも何とかなりそうだ」
『……ふむ? 何か言ったかね?』
「いや。ただのひとりごとだ」
『……ふん、まあよかろう。空中部隊を突破してくるとは、なかなか大した男よ』
「俺は何もしてないさ。護衛が優秀だったおかげだよ」
俺は聞く。
「一応、確認したい。あんた、人間と共存する気はないのか?」
『笑止! 余がお前たちのような下等生物と共存? できるわけがなかろう?』
「ま、そう言われると思ってたけどな」
仕方がない、か。
「俺、あんたを倒すよ」
『やってみるがよい。できるものならば、な。余は最上階にいる。逃げも隠れもせんよ』
「ああ。すぐに行く」
『まあ待つのだ。そんなに慌てるものではない。いでよ! 守護兵ども!』
魔王の号令で。
ズシン! ズシン! ズシン!
広間の奥から、巨大なゴーレムが次々に押し寄せてきた。ボディが黒く、鈍く輝いている。
「こいつらもダーク・クリスタル製、ってわけか」
「お兄様! あっちから2,000体ぐらい来るよ!」
「あなた様! こちらからは2,000体です!」
「主様、こっちからも2,000。まだ来るみたい」
『フハハハハハハハハ!』
魔王の高笑いが響く。
『盛大に、もてなしてやろうではないか! この魔王城を守護する! 9,999体の巨人兵がな! せいぜい楽しんでくれたまえ! フハハハハハハハ……」
笑い声が消えていく。交信を切られたようだ。
「ダーク・クリスタルでできた特製ゴーレムか。SSランク・モンスター相当だな。それが9,999体、ね……」
俺はため息をついた。
「魔王はこんなので俺たちが止められるって、本気で思ってるのか?」
「だよねだよね! たったのこれっぽっち? いくらなんでも少なすぎでしょ!」
「もしや魔王は、あなた様の実力がわかっていないのでは?」
「あり得る。このゴーレム、動きも遅そう。スルーする?」
「それもアリだけど、ここは慎重にいこう。あとで挟み撃ちにされると面倒だしな。かるーーーーーく全部倒してから、進むことにしよう」
「オッケー!」
「わかりました!」
「了解」
よし。まずは俺からだな。
「力の差は圧倒的だ。支援スキルを使うまでもない」
俺は聖剣『ビリーヴ・ブレード』を抜くと、光の刃をゴーレム軍団に振るった。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
3,000体のダーク・クリスタル・ゴーレムが、コナゴナに砕け散った。
「次はあたしね! お兄様のプレゼントを使っちゃうよー! セイクリッドォォォォ・サンライトォォォォ・シュゥゥゥゥゥプリィィィィィィィィィィム!」
サミーの『太陽の聖杖』から、オレンジ色の波動が吹き荒れる!
カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
2,000体のダーク・クリスタル・ゴーレムが、波動の力で消え去った!
「今度はわたしがまいります! あなた様の心とともに! ジャスティス・ホーリーライト・アルティメット!」
アンリの『光の聖杖』が、白い光でかがやく!
パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「グゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
2,000体のダーク・クリスタル・ゴーレムが、光の中で消し飛んだ!
「主様、お力を。ディバイン・ムーンライト・ヴァージョン・オメガ」
トウナの『月の聖杖』が、金色のエネルギーできらめく!
ブアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!
2,000体のダーク・クリスタル・ゴーレムが、エネルギーの中ではじけ飛んだ!
「よーし。これで9,000体撃破だな」
「さーーーっすがお兄様のプレゼント! 前とはケタ違いのパワーが出せるよーーー!」
「この聖杖を握っていると、力と勇気が満ちあふれてきます! あなた様のご加護は、本当に素晴らしいです!」
「俺は関係ないさ。素材の良さと、みんなの意思の強さだよ」
「私たちの強い意志は、主様への愛があればこそ」
「ははは。相変わらず、みんなは大げさだなあ」
さて、と。
「ケリをつけようか」
俺は聖剣『ビリーヴ・ブレード』で、残りのゴーレムの群れを斬る。
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
残った999体のダーク・クリスタル・ゴーレムが、爆砕した。
「よし、片付いたな。それじゃあ先に進もう!」
俺の号令に。
「アンリさん! 思ったよりもずーっと楽勝でしたね! お兄様と、お兄様のプレゼントが強すぎるのかなぁ?」
「その通りです、サミー様! あの方にとっては、準備運動にもならなかったのでは?」
サミーとアンリが話しながら、前に進む一方で。
「あの……主様」
トウナが俺に寄り添い、声をかけてきた。
「ん? トウナ、どうした?」
「この戦いが終わってから。もしよかったら、なんだけど」
トウナは何やらもじもじしていたが。
「あ、あの……ね」
踏ん切りがついたように、一気に話しはじめた。
「ワ、ワ、ワワワワ『ワンズ王国』にね! おいしいパスタのお店があるの! とってもとってもおいしくて! 私すっごく大好きで! でででで、でね! でね! それでね! 主様のお口に合うかはわからないけど! よかったら、わわわわ私といっしょに――」
「あーーーーー! トウナさんずるいですよぉ! 3人いっしょにゴールイン! って決めたじゃないですかぁ!」
いきなりサミーが、にゅっと顔を突っ込んできた。
「わ、わ、わわわ私! 別に、抜け駆けなんて、そんなつもりじゃない! みんなと変わりばんこのつもりだったから!」
「それならそれならお兄様ー! あたしともデートしてくれるよねー! 『ワンズ王国』のケーキが食べたいなーー!」
すると今度は。
「あなた様あなた様! 『エルフの里』の近くには、絶品フルーツが食べられる秘密スポットがあるんですよ!」
いつの間にかそばにいたアンリが、俺に腕をからめる。
「トウナさんとサミーさんのあとでかまいませんので! 落ち着いたら2人っきりで食べに行きましょう!」
「いやいやいや。別にひとりずつじゃなくてもいいじゃん。みんなで一緒に行けばいいじゃん」
「もうお兄様! わかってないなぁ!」
「2人っきりの楽しみ、というのもあるんですよ? クスッ」
「そそそそその通り」
「うーむ。そんなもんかなぁ?」
……まあいいか。みんなにも、色々お世話になってるしな。
「目立つのイヤだから変装させてもらうぞ? それでもよければつき合うよ! 約束は守る! ここに誓うさ!」
「うわああああああああああい!」
「やりましたーーーーー!」
「どきどき」
……やれやれ。
「みんな余裕たっぷりだなぁ。頼もしいよ、ホント」
まあ、今後の参考になる話は聞けたか。
「トウナはパスタ。サミーはケーキ。アンリはフルーツか。覚えとこ」
みんなの好物を頭に叩き込みながら。俺は魔王城の最上階を目指すのだった。
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