Main Story
1.「始動!ハーレム・プロジェクト」
「待ってよ! いきなりそんなこと言われても」
「わがままを言わないの! これはもう決まったことなんだから、あなたはしっかりと準備をしておきなさい」
中学卒業をまじかに控え、母さんに進路相談の電話をかけたら思いもよらない現実を突きつけられた。
僕が生まれた時から母は仕事で殆ど家にはいなくて、たまに帰って来ても家族団欒なんて言うものとは縁遠い生活を送っていた。
うちには父親はいない──僕の生まれる前に事故で亡くなったって言うことを昔聞いたことがあるけれど、実際どうなのかは知らない。
普段から家にいない母さんはお手伝いさんに家事を任せて、息子の教育は厳しい家庭教師を雇って徹底した英才教育を施した。
僕は将来、母親の仕事を継ぐ事が最初から決められていた。
そんな親の敷いたレールを進むだけの生活に本音を言うとうんざりしてるけれど正直自分ではどうすることもできない。
だってそうしないと自分がここにいる理由なんてないのだから。そんな事は子どもの頃から理解していた。
そういう生活を送りながらも毎日しっかりと学校へ通って親や家庭教師の先生を納得させられるだけの成績は収めてきた。
唯一と言っていい自分の進学先の高校受験も決まっていた。新しい学生生活はワクワクとした気持ちですごく待ち遠しく思えた。
けれど、そんな僕の細やかな願いは叶うことはなかったんだ。
まさか女子高に通うことになるなんて──
女子大との提携もしていて毎年かなりの生徒がレベルの高い大学を受験する。
そんな現実はかけ離れた学校にこれから僕が通うなんて言うんだから。
これから一体どんな生活が待っているのかと考えたら頭が痛くなってくる。
いくらなんでもいきなり女子高に転入するなんて思いもしなかった。
僕の母さんは色々な研究機関や国からの大きなプロジェクト任される仕事をしている──なんでも今度実行される大型企画〈ハーレム・プロジェクト〉の一環として恋麗女子学園と最高責任者の母さんがやり取りをして女子高に男子生徒である僕を入学させて将来の結婚相手を探すらしい。
今まで誰からも必要とされていなかった自分にそんな重要な役割を担う事になるなんて……。
突然の話で僕自身驚いている。これから先どんなことになるのか不安になってきた。
穏やかな学生生活を送れると良いんだけどね……。
自分の未来がなにもかも決められた生活から当分の間は抜け出す事は出来なさそうだ。
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