勢力解説:ポテチ人
人間種。
帝国領内の被支配民族である。ポテトン人とも呼ばれる。
後世においてはオーザック家が王権を確立し、大陸の一大勢力たるポテチ王国を形成した。
ポテチ人は元々、アルティピア大陸北方に広範に分布する民族であった。
しかし、帝国の前身である共和政キューゴの拡張と魔族の西進に伴って、
彼らはそれまでの居場所の多くを失い、その生活圏は雪に閉ざされたニオシア半島近辺に限られた。
逃げ込んだ先のニオシア半島も、帝政移行後の更なる拡張で帝国軍に容易く制圧され、
以後も帝国との同化を選ばなかったものは帝国による厳しい抑圧下に置かれた。
同じ人間種族であるにもかかわらず、彼らは人族ではなくあくまで"蛮族"、つまり別種族の括りで扱われた。
その理由は多岐にわたるが、人類種でありながら最後の最後まで帝国に頭を垂れようとしなかった部族であること、
高度な魔法文明を築き上げた帝国人の水準からすると満足な魔法の才を持つものが少なかったことなどが主因であろう。
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劇中時点から遡ること数十年前、財政状況の悪化を懸念して税収の増加を図った時の皇帝は、
帝国領内の"人族の"自由民に等しく市民権を与えた。
市民権付与をまず人族に限った理由については諸説ある。
帝国が多種族によって構成される共同体であることから、自由民に対する条件のない市民権付与については、
混乱を防ぐため種族ごとに段階を踏んである程度慎重にならざるを得なかったのであろう、とする説が今日においては有力である。
ちなみに、後からではあるが上級魔族にも市民権付与は行われた。
ここでポテチ人は人類種でありながら市民権付与の対象外となった。
先述の通り、帝国人はポテチ人を人間ではなく、ゴブリンやオークといった下級魔族と同等に取り扱っていたのである。
当然ポテチ人の反発は強く、時代とともに鎮まりつつあったポテチ人の反帝国感情を復活させることになった。
かかる政策により、ある種の特権であったはずの市民権の価値は大幅に下落し、また帝国市民間での一体感、連帯感も大きく損なわれた。
その一方で、市民権を付与されなかった種族の自由民は、種族差別的な取り扱いを受けたことに激しい不満を募らせ、帝権に対する不信はさらに強まった。
目先の税収増加のために行われた市民権付与政策は、結局誰も得をしない結果しか生まず、帝国の安定を著しく害したのであった。
目に映る全てを焼き尽くし殺し尽くしながら進軍する北方の軍勢に押し出されたポテチ人が、望むと望まざると南下を余儀なくされ、
帝国の劇的な破滅において重要な役目を果たすのはもう少し後のお話。
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