アイノクサビ

1. ぼんやり考える

「あぁ…違うんだよなぁ…」

 自転車に乗って、独り言を呟きながら、

「違うんだよぉ~~」

 スピードを上げて、歩いているクラスメイトの深森ふかもりを追い越す。

「おはよぉ~」

浅木あさき、おは、よう…?」

 いつもと変わらない日常。

「……ん?……」

 そうだ。

「それだっ!!」

 そして、校門に入り、自転車置き場に到着。

「紙、紙…」

 無造作に取り出した紙が、某バンドの告知。

「今日じゃん…」

『必ず来い。歌えるヤツがいないから』

 確かに、スゴく個性的な歌い方するから…。

「浅木、遅刻するよ…?」

「うん…」

 行かなければっ!!

「あ、そうそう…」

 その前に、書かなきゃ。

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