第17話 朝帰りの元勇者
朝になり、家に帰るとチェーンは外されていた。
「ただいま……」
静かだ。寝ているのか?
俺が玄関から部屋に入ると……魔王が2体いた。
物凄く怒っている花梨ちゃんと魔王イリスティラだ。
「レモン?正座!」
「そうじゃ、座るのじゃ!」
「おう!」
「申し開きがあるなら聞きましょう?」
「サンマの開きでもよいぞ?アレは良い物じゃ!」
「嘘をついていたのは悪かった。サークルの懇親会に誘われて断ったんだけどな?付き合い悪いぞって言うからついて行ったんだ」
「ふーん」
「サンマはどこじゃ?」
すまん、サンマは持ってないんだ。
「うむ、サンマでは無く……女の匂いがするのだ!」
「うちのシャンプーの匂いじゃないね?朝までどこに行ってたの?」
そう来るよね?分かってるよ。
「昨日、帰ってきたら部屋に入れなかっただろ?だから、ホテルに泊まって来たんだ」
「へぇ……レモンに、そんなお金の余裕あったかしら?」
「余裕なんてないさ……」
「ふーん、そのホテルの名前は?」
名前?名前なんてあったか?
「すまん、覚えてない」
「領収書は?」
「……無い」
「なら、いいわ!そのサークルの人に直接聞くから」
「それは!やめた方が良い……」
「なんで?」
「そいつって、やりチンなんだ!花梨が狙われたら俺……」
ただ、俺が結婚している事を知られたく無いだけなんだが。
「そう、なんだ?えへへ♡優しいね?」
よし!乗り切った!
「もう、昨日はごめんね?カギかけちゃって」
「いや、嘘をついていた俺が悪かった」
「むぅ……発情した女の匂い……」
イリスティラ?
俺はイリスを黙らすために、イリスにキスしてやった。
「ちゅ♡……ちゅ♡……ん?」
「ただいまのチューだ♡」
「むふぅ♡」
「じゃ、私も!ちゅ♡」
俺は、花梨ちゃんにもキスされた。
「お酒臭ーい。飲みすぎだぞ?レモン!」
「ごめん」
「さぁ、朝ごはんにしましょう?」
危機を乗り切ったと思って、俺は油断していた。
ピローン!っと俺の携帯が鳴った。
「あら?メッセージ来てるわよ?レモン?」
「ああ」
「何々?ホワイトさんからメッセージが一件…………」
俺が置き忘れた携帯にメッセージが表示されていたようだった。
え?ホワイトさんって、俺が昨日登録したホワイティじゃないか?
「レモン?ホワイトさんって誰?」
「昔の冒険者仲間だよ?ほら、一緒に魔王を倒しに行った仲間なんだ?」
「へぇ、ゲーム友達って事ね?昨日は、そのゲーム友達と一緒だったのね?」
「そう!そいつ飲み過ぎてさぁ、介抱してたんだ?」
「介抱?へぇ……介抱って一緒にホテルに泊まるんだ?」
バレてる!?
「いや、そいつの家も分からなかったんで、この家に連れて来たんだよ?でも鍵が開かなくて仕方なく?」
「この、私達の家に連れて来たんだ?へぇ……そんなに大事な人なの?」
「えっと、その、だから……苦楽を共にした大切な仲間っていうか、何年も一緒に冒険して俺を支えてくれた三人のうちのひとりなんだ」
「三人?ってもう二人もいるの?」
もう、俺が異世界に行ってたこと、話した方が良いか?
「イリスティラ?」
「なんじゃ?レイモンド?」
「覚えているか?俺達が勇者パーティとして、お前の城に行ったあの時の俺を含めた四人だ」
「覚えておるぞ?」
「え?イリスちゃんも、会ったことあるの?」
「我を倒した者たちじゃ、忘れもせんわ」
「イリスちゃんも、同じゲームをやっていたのね?」
「その時じゃった、我がレイモンド、レモンに惚れたのは。レモンは強かったのじゃ!」
イリスは、昔を思い出すように、上を向いて目を瞑った。
「なんか良く分からないけど、大切なゲーム友達って事は分かったわ。イリスちゃんも知ってるみたいだし?家に連れてくるのも分かる気がする。それに、ホテルに泊まるしかなかったのも私のせいだし?」
花梨ちゃんには、異世界って事は言ってないけど、理解してくれたようで助かったよ?
「それじゃ、そのホワイトさんって人に会わせてちょうだい?」
「え?」
「だって、お礼もしたいし?鍵かけちゃったこと謝りたいから」
「我も久しぶりに会いたいぞ?お礼をしなければならぬからの?」
えええええ!?まずい!まずいぞ?この二人に会わせたら、あいつホワイティは何を言うか分からない。
「まぁ、そのうちな?」
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
レビュー☆☆☆にコメント、応援♡を頂けたらとても嬉しいです。
こちらは暇な時にゆっくり投稿予定です。 まったり進みます。
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