第2話 魔王とバイトを始める。



「うむ……うまい!これはなんじゃ?ちょこれーとか?これは、なかなか良い物じゃ」


 イリスティラは元から着ていた布地の面積の小さいビキニのような服から、俺のワイシャツに着替えさせている。幼女とはいえ肌の露出が多い服は目の毒だ。


「おい!イリスティラ?いつまで俺の家にいるつもりだ?」


 俺は、もぐもぐとお菓子を平らげる魔王イリスティラに疑問をぶつけた。


「ん?……なんじゃ?」


「一応俺は、学生なんだよ?だから、その……バイトしないとお金も必要だし」


 さすがに幼女のイリスティラは働かすことは出来ない。というか異世界人って働けるのか?

「バイトとは、なんじゃ?」


「お金だよ!お金を稼ぐんだ。お金が無いと生活も出来ないし、ご飯が食べられないんだ。それに今食べているお菓子だってお金が無いと買えないし、食べられないんだよ?」


 俺は社会人じゃない。学生なのでアルバイトをするしかない。あとは他に稼ぐ方法もあるけど、今の俺に出来るだろうか?


「ふむ、ならば……我が働こうぞ」


 ええええ?その幼女の体じゃ働けないだろ!?


「いや、その体じゃ働けないから!」


「なぜじゃ?」


「この国は、ほら、法律で幼女は働けないんだ?多分?」


「法律など知らん」


「とにかくバイトするからな?」


 俺はバイトのチラシを適当に鞄に詰めて、バイトを探しに外に出ようとすると。


「我も、連れていくのじゃ」


 魔王に止められた。


「分かったからいくぞ?」


「おー」



◇◇



 なかなかバイト見つからないなぁ。


「まだ、決まらんのか?」


 そんなに簡単に見つかったらこんな苦労はしない。


「ここはどうじゃ?」


 え?魔王喫茶?いやそれは無いだろう?え?ちょっと待て!勝手に入るな!


「じゃまするぞ」


 魔王イリスティラは、俺より先に勝手に店に入ってしまった。


「ちょ!イリスティラ?」


「え?魔王様?」


「え?」


 店に入ると、青い髪色で青い目をした可愛い店員さんが、イリスティラを見て固まっていた。


「バイトを……探しに来たのじゃ」


「貴方は……魔王イリスティラ様ではないですか?」


 どうやら店員さんは魔王イリスティラを知っているようだった。なぜ知っている?


「如何にも、我は魔王じゃが……誰じゃ?お主?」


わたくしです!四天王の!」


「知らんぞ、四天王など……おったか?」


「あのぉ……バイトを探しに来たものですが……」


「貴様!な……お前は!勇者レイモンド!おのれ!この世界まで追って来たか?」


 またか……何故俺が勇者レイモンドであることを知っているやつがポンポン出てくるんだ?


「はぁ?何を言って?」


「忘れたとは言わせんぞ!私は魔王軍四天王(自称)暁のシーメットだ!」


「シ―メット?…………ああ!いたなぁ……そんな雑魚?ごめん忘れてたわ」


 魔王領に入るときになんか騒いでたやつがいたんで、一撃で倒したけどそれがたしかシ―メットだった気がする。


「雑魚だと!?くそっ、ここで会ったが100年目!今度は逃がさんぞ!」


 また何か騒いでいるけど、俺はバイトを探しに来ただけだ。


「それよりバイト探してるんだけど?」


「そうじゃ、バイト無いか?」


「よし、二人とも採用だ!もう逃がさんからな!勇者レイモンド!」


 なんだかんだあったけど、俺とついでに魔王イリスティラのバイトまで決まったので僥倖だ。


 でも、いいのか?見た目幼女を働かせて?



◇◇


 

 早速、俺と魔王は店に入り働くことになった。イリスティラは魔王のコスプレをして客対応。俺はキッチンで雑用をやらされている。


 早速、お客が来たのでイリスティラが接客を始めた。魔王のコスプレは嵌まっていて、角が生えたカチューシャを付けて可愛い魔王メイドの服を着ていた。


「よくきたな……注文しろ?」


「えっと、じゃぁ……コーヒーで」


「苦いのは……苦手じゃ」


「ええっと……それじゃ砂糖いれて甘くして?」


「うむ……待っておれ」


 イリスティラが注文を受けて戻って来た。


「ホットコーヒー……甘々じゃ」


 いや、お客様に甘いのの強制は良くないよ?


「コーヒー甘いのね?本当にいいんだね?」


「苦いのは……苦手じゃ」


 それは、魔王イリスティラが苦手なだけで、お客様は違うからね?


 俺は甘すぎないように調整したコーヒーを入れて、魔王イリスティラに渡した。


「もっと……甘くじゃ」


 って……飲んじゃダメでしょ!お客様に出す前に飲んでどうするの?


 俺はコーヒーを入れ直して魔王に渡したら、また味見しやがった。


「おい!」


「うむ……これは良い物じゃ♡お代わりを所望するぞ?」


「頼むからお客様に出してあげて!待ってるから!」


「うむ……仕方あるまい」


 いや、仕方なくないから?


「その前に……お代わりじゃ♡」


 もう、何とかして!





読者様へ

ここまでお読みいただきありがとうございます。

レビュー☆☆☆にコメント、応援♡を頂けたらとても嬉しいです。


こちらは暇な時にゆっくり投稿予定です。 まったり進みます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る