サンタさんのプレゼント
クリスマス・イヴ。
外は雪が降る真夜中。
もうすぐ部屋の時計が午前零時を告げます。
私はPCのワープロ画面の前で一人唸っていました。
こんな時間まで小学生が起きているのはいけないかもしれないけれど、投稿サイトのクリスマス向けコンテストに投稿する小説をどうしても今夜書き上げたいのです。
しかし、アイデアが出ずにずぅっと椅子に座ったままで唸り続けている内にもう午前零時になりました。
午前零時になった途端、ロックしていたはずの部屋の窓がガラッと開きました。
「ホッホ~!」
「あ、サンタさん」
吹き込む冷気。開いた窓の外ではトナカイに引かれたソリに乗ったサンタさんがいました。ここはマンションの五階なのに。
「メリー・クリスマス!」
「メリー・クリスマス、サンタさん。私にプレゼントを届けに来てくれたの?」
「そうだよ。さあ、どんなオモチャがいい」
「オモチャはいらないわ。それより私、クリスマス向けの小説のアイデアが欲しいの」
「そうかい。……それならば『クリスマスに小説のアイデアに困っていたら午前零時に本物のサンタクロースに会った』というのはどうだい」
「それは素敵ね。そのアイデアで一気にお話が頭に浮かんだわ」
「気に入ってもらえて何よりだ。じゃあね。ホッホ~!」
サンタさんのソリは雪降る夜を去っていきました。これからも子供の家を巡るのでしょう。
それから私はPCに向かうと小説を一気に書き上げました。
ちょっとした心地よい疲れ。
私はろくに見直しもせずに小説をサイトに投稿しました。
これでベッドに安心して入れます。
今夜は久しぶりにぐっすりとしたクリスマスです。
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