きみという名の星

季節がめぐったら

この夏のきみにはもう会えない


明日になれば

今日のきみにはもう会えない


あの夕日が

水平線にくちづけしたなら

さっきまでの

きみはもういない


暦をめくったら

夏服のきみにはもう会えなくて


夕立ちが来たら

もう風鈴の音が響くことも

雫が落ちたなら

線香花火がもう咲くことも


月がまぶたを閉じて

もう一度そっと開くころには

季節も衣替えしている


今日のぼくは

明日のきみをまだ知らない


夏のきみが

冬のぼくを知らないように


きっとまだぼくたちは

本物の恋を知らない


月が満ちたり欠けたりするたびに

季節がめぐったら

この星空も

冬の星座に変わってしまうのだろう


願いごとを唱えるまえに

流れ星はいつも

消えてしまうけれど


満天の星のパノラマのもとで

ふたり肩を寄せあって

星と星をつないで

アルテミスとオリオンさえ知らないような

素敵な恋の物語をつくろう


どんな結末になるのか

誰もその先を知らない

その物語を


きみという名の星が――


明日の青空に消えてしまうまえに


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