桃色月夜に踊るのは、

夜 電気を消して

暗闇に目が慣れるまで


小窓から差し込む

月灯りに導かれ

意識は窓の外に飛び出すと

満月の下 踊り出す

軽やかな

ステップを踏んで


やがて遠のいていく

その意識の先に


貴方はいるのでしょうか

 貴方がいるのでしょうか


踊ってくださいますか?


手を差し出したのは

燕尾服を着たウサギ

モノクルの下

おヒゲなんか生やして


あなたは月から来たの?


気づけば私は白色のドレス

まるでルーナのようね


でも、お願い


どうか月には連れてかないで


そこに貴方はいないから

 そこには貴方がいないから


暗闇に目が慣れるころ

私はもう夢の中

桃色月に浮かぶ

二つのシルエット


やがて一つに重なってゆく


一緒に踊るのは貴方




ねぇ、お願い


夢ならどうか醒めないで


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る