退散

「何よ、アイリ。やっぱりあんた、お兄ちゃんのこと諦められないじゃないのさ…」


「っっ!!」


ぷく顔をしてアイリのやつは降参したみたいだった。


「一芝居、打ってみたの。もっとも、

勢いでキスしちゃったけど、アイリが上書きしたらそれでいいかなって…」


「ということで、私が帰るね」


「トウコ…」


アイリは見透かされたように項垂れていた。

俺はトウコが現場からいなくなるのはちょっと寂しかったが、アイリだけ残され、

話し合うことになった。

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