お題:金魚のフン  「行かないで、夏の金魚」

5歳の夏祭り。金魚が欲しくて泣いていた幼なじみ。

僕が代わりに取ってやった。

彼女は金魚を持ったまま、僕の後ろをついて歩いた。


17歳の夏祭り。友だちと笑う彼女がいた。

紺の浴衣、白い首筋。こっちを見て、かすかに笑った。

僕の視線をまとい、ひらひらと離れていく。

――夏の金魚。

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