第13話 はじめてのダンジョン

「これよりダンジョンに入る。各自装備を受け取り、準備せよ」


 ギルド管理の遺跡ダンジョンに到着すると、併設されたギルド所有の建物へと案内される。そこで槍と軽装の鎧を受け取る。手甲と足甲、胸甲を身に着け、体の動きを阻害しないか確認する。最後に槍を手に持ち集合場所へ移動する。集合場所には4人の担当官が待っていた。


「今から4つのチームに分ける。適当に6人でチームを組め」


 いつもの勉強会のメンバーで集まりますかね、周りを見渡し長髪君を探す。(もちろん隣にはしっかりとマコトがいます)


 長髪君を見つけ近くによると、いつものメンバーが集まってきました。


「よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


 早速6人集まり軽く挨拶をかわします。ワイワイ騒ぎながらチーム決めをしている他の皆さんを眺めていると担当官が4人少し距離を置いて前に立ちました。


「静かにしろ!!そして迅速に動け!!今お前たちは何を手にしている!今から向かうところはどこだ!ふざけていると大けがではすまないぞ!!」


 担当官の1人が一喝します。


「チームが決まったものは左から順番に担当官についてダンジョンへ入れ」


 静まり返ったところで順番にダンジョンへ行くよう促します。


 僕達はチームも決まったことですし、さっさと入るとしますか。一番左側の担当官ところへ向かうと赤メッシュ君が割り込んできました。


「俺達の方が先だぜ!」


 別に順番にこだわらないので「どうぞ」と一声かけるとそれが気に食わなかったのか睨まれてしまいました。


「それでは行きますか」


 二番目の担当官についてダンジョンへ入っていくと、あるところを境に何か奇妙な感覚が…気になるので担当官に尋ねてみました。


「今のがわかりましたか、感覚が鋭いですね。今ちょうどダンジョンに入った瞬間だったんですよ」


 と丁寧に教えてくださいました。きっとこの担当官は山口担当官と一緒で怒らせると怖いタイプに違いない。


 それにしてもこれがダンジョンか…動きを阻害するわけではないですが、何か空気のようなものが濃い感じがします。あとで少し体を動かして感覚の違いなどがないか確かめておきましょう。


 しばらく歩いていると大広間のようなところに着きました。まずはあたりの様子の観察です。この大広間、僕達が入ってきた場所以外に前に2つ、左右にそれぞれ1つずつ通路のようなものがあります。そしてその通路の入り口には一人ずつ冒険者が待機しています。そのうちの一人の顔には見覚えがあり、向こうの気が付いたのか声をかけてきました。


「おう、おっさん、久しぶり!こないだはホント助かったぜ!!」


「お久しぶりです。えっと、確か悟さんですよね?」


「悟でいいよ、おっさんはあいつの命の恩人だからな!で、おっさんは何してんだ?ギルド講習の担当官か?」


「いえいえ、ただの受講生ですよ」


「お、そうなのか!てっきりギルド職員かベテランの冒険者かと思ってたぜ!?」


 挨拶をしているとだいぶ受講者が増えてきました。


「おっと、そろそろだな。じゃあ、俺は持ち場に戻るからさ。頑張れよ!」


 そう言うと悟くんは持ち場へと戻って行きました。流石プロですね、持ち場を離れたように見えても、何かあった時、即対応できる距離を保ち、会話しながらも、常に周囲を警戒していました。


 ところで、先ほどから皆さんの視線が痛いのですが、どう言うことでしょう?

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