第41話 対岸のタッチ

 囚われのある日、いつものようにタッチする相手が目の前にやってくるが、淳史は違和感を覚えた。今回の相手は白人で金髪だ。今までは中東系の顔立ちの傷病者ばかりタッチしていたため、同じテロ組織の兵士や、役人へのワイロだろうとわかっていたが今回は違った。


 その白人は英語を話すが、ロシア人とのことだった。話を聞くと、武装組織カスタネンはダークウェブでタッチを受けられる権利を出品して、その報酬を暗号通貨で受け取っているとのことだ。淳史は金額までは分からなかったが、おそらく高額な値が付けられ、テロの資金となっている事だろうと推測し、さらなる絶望を感じた。


 淳史はタッチを受けに来たロシア人に、助けてほしいと密かにお願いするも、ロシア人は自分の身が危うくなると、話を聞いてくれない。タッチ後、淳史は場所を移動させられて別の地下室に監禁された。ここから、外国人をタッチしてはアジトを転々と移動する生活が始まるのであった。

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