第3話「魔法とスキル、そして創造とは」
あれからさらに6年が経ち、俺も立派な小学六年生の歳になっていた。
数年前に与えられた冒険者の本、魔法の本、そしてスキルの本をこの3年で読み込み、俺は知識を付けた。
この世界で分かったことは大きく分けで3つある。
まず、一つ目はこの世界には魔法というものがあるらしい。そして、魔法を使うものは魔法士と呼ばれる資格を得られ、世界中で重宝されている。
また、魔法には属性があり、種類は5種類。
火、水、土、光、闇の五大魔法で人にはそれぞれの適性があるようだ。まぁ、俺の方はというと生まれてすぐの儀式で見たステータスには無属性と書いてあった。
しかし、俺には適正もないので魔法が使えないと思われていたのだが、どうやらそういうわけではないらしい。
魔法の難易度にもさらに種類があって、下から初級、中級、上級、絶級、神の御業と五種類。特に最後の神の御業に関しては今までの人類の歴史上、使ったことがるのは3人だけ。
三人は伝説でしか見たことがない魔王『キル』、
もちろん、最後のはこの帝国を作り上げた帝王なのだが今の怠慢な帝王よりも優秀だったと聞く。それはまあ、魔法も神の御業まで使えるしな。
――っと、話が反れていた。
とにかく、適性がなくとも魔法はそれぞれ中級、頑張れば上級まで使えるらしいが人間が極めるのには少なくとも10年以上かかるらしい。
そんな話なので、俺は実際諦めているわけだ。それに、俺は魔法よりも銃が好きだしな。
そして、二つ目は冒険者と言われる制度だ。
この世界には身分の階級があり、上から帝王、王族、貴族、上級市民—上級冒険者、聖職者、下級冒険者、市民、奴隷の計9段階。
ただ、帝王は一人しかなれないのでないものにするとやはり王族や貴族が権限を持っている。
しかし、そんな中でも上級制度というものもあり、市民として王族に認められたもの、冒険者として王族に認められたものはその垣根を超えて貴族や聖職者同様の権限を持つことを認められ、小さな村や街の統治を任されることがある。
冒険者については言わずもがな、帝国から支給される賃金を完全歩合制で受け取る仕組みだ。
もちろん冒険者にもランクがあり、FからSSまでとアルファベットになっている。S以上が所謂、上級冒険者にあたるらしい。
ここで育ってきて分かったがさすがに小さな町や教会孤児院の状況は芳しくない、俺も冒険者辺りを目指していきたいと漠然にではあるが考え始めている。
最後に、三つ目として挙げられるのは
名前の通りに全員に違うスキルが与えられるわけではないが、生まれた時に神の御加護として一定の確率でスキルを得ることができる。
それがない人もいれば、俺のように世界で最弱と言われるものもあり、その形は様々だ。
ただ、俺のスキル「創造」は決して最弱ではないと自己解釈をしている。
このスキルの概要は「構造、性質、材質、その他すべてを解明できている、もしくは知っているものに対して作ることができる」というもので、なんでもかんでも作れるわけではない。
この世界では魔法により、解明や科学分野での発展が著しく低いためにできないと言われているが俺のいた世界ではそうではない。
そこで、俺が最も詳しい知識である銃器に関して考えてみることにしたのだ。
深夜、ミリアや他の孤児たちが寝静まった後、俺は孤児院を抜け出し、庭の陰でスキルを使ってみることにした。
「発動、創造」
そう口にして、スキルを発動させる。
あとは頭の中で作りたいものを組み立てて、念を込めるだけ。
そうだな、まずは簡単な銃器を作るのがいいのかもしれない。そう考えて、俺は古いハンドガンを作ることにした。
「M1911」
ふぅ、と息を吐いて構造を頭の中で構築させる。
ゆっくりと念じていくと手から何かが流れ出ていくように感じ、数秒経って目を開ける。
すると、地面には俺が念じたM1911、通称コルト・ガバメントの古臭いハンドガンが無造作に置かれていた。
「ま、まじか……」
使えた。
昔、いろんなYOTUBEや文献で読んだから素材さえあれば作れることは分かっていたが……まさか、ここまでとは思ってもいなかった。
試しに持ちあげてみるとやはり子供の体には少し重いのか、ぎゅっと力を入れないと持つことはできなかった。試しにスライドをカチャカチャしたが弾は込められていなかった。
もしかしたら、弾は別で作る必要があるのかもしれない。
「なら、こっちもやるか……よし。.45ACP弾」
再び念じてみると、全部で7発作り出すことに成功した。
どうやら弾に関してはその銃の装弾数を作り出すことができるらしい。
「すげぇ……試しに、一発」
俺はあまりの好奇心に、打ち勝つことが出来ずマガジンキャッチボタンを押しこんでマガジンを取り出して銃弾を込めていく、一発だけでいいので込めて、スライドを手前に引き、両手で持って構える。
「人がいない方向は……」
山側に銃口を向けて、数秒ほど狙いを付け、一気にトリガーを引き込んだ。
すると——。
—————ドバンっ‼‼
と、激しい音が鳴り響き、一瞬で風を切り裂いた。
その衝撃で思わず、背中側から倒れてしまい、俺は初めての実銃に声が出なかった。
さすがの銃声に孤児院の方で明かりはついて、ミリアが俺の方にやってくる。
「————っか、カイト!! どうしてこんな時間に……って、さっきの音は‼‼」
「あ、そ、その……ミリアさん」
「ま、魔物!? いやでも、この辺にはただの獣しかいないから……ってそうじゃなくて、とにかく家に入りましょう!!」
「——は、はい」
さすがに埒が明かないと思ったのか、彼女は俺の手を引きながら孤児院の中へ入っていく。見つかるわけにはいかないとM1911を服の中にしまって、俺は黙りこむ。
これはやばい。
銃がバレるし……こういう優しい人が怒ると怖いって聞く。精神年齢30歳とはいえ、怒られるのには慣れてない俺はもちろん怖かった。
それに……怖いけど、さっきから歩くたびにおっぱいが揺れている。
たゆんたゆんと。
「な、なに?」
俺が鼻の下を伸ばしながら見つめているとミリアは鋭い目で俺を睨みつける。流石の俺も、やっぱり怖くなって、しゅんと肩をすぼめることしか出来なかった。
☆ステータス☆
名前:カイト・フォン・ツィンベルグ(旧姓:カイト・ストルベ・クロスべリア)
年齢:12
職業:孤児
経緯:転生
固有スキル:創造レベル1
スキル:博識(銃器のみ)、格闘術
魔法属性:無し
魔法レベル:0
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