ステータスがバグってる


 何はともあれ、冒険者ギルドに来たからには、冒険者登録からだ。


 受付嬢のお姉さんがにっこり笑いながら対応してくれた。



「まずは測定用の魔導具でステータス鑑定から。お名前をどうぞ?」


「ルシウス・リーストです!」


「年齢は?」

「14歳になりました!」


「称号や職業はある?」

「学生、魔法剣士です!」



 測定用の魔導具で読み取れる人物のステータスは、魔力を流すと基本のテンプレートに対応したものが画面表示される便利なものだ。


 ちなみにこの世界、魔力持ちならば「ステータスオープン」と唱えると、自分のステータス確認や目の前に画面を出すことが可能である。



名前 ルシウス・リースト

所属(出自) アケロニア王国リースト伯爵家子息

称号 魔法剣士



 以下、「体力、魔力、知力、人間性、人間関係、幸運」と十段階評価で数値が出るはずなのだが。


「す、数値がバグってる!?」

「あ、その子のそれは、そういうものなので。気にしないで構いません」

「き、気になりますけど!?」


 やはり不安しかない。


 だが、少年と支援物資を運んできた赤茶の髪の騎士ホーライル卿は、ルシウスの冒険者登録が済んだことを確認すると、そのまま空の馬車と一緒に馬に乗って帰ってしまったのだった。


「ルシウスの様子は定期的に通信で教えろと王女殿下よりの命です。よろしくお願いしますね!」


 とだけ言い残して。




「冒険者ランクは、初登録のため一番下のEランクからスタートになります」


 その場でカードタイプの冒険者証が発行される。


「わあ。これが僕の冒険者証……!」


 お目々キラキラで真新しい冒険者証を触ったり、裏返したりのルシウス少年だ。



「冒険者証には、冒険者の基本情報が記録されています。今後はどの国、どの地域に行っても使える身分証になります」

「はーい」


「冒険者として討伐した魔物や、過去にどのような依頼を受けたかや、依頼達成の成功の有無も記録されます」

「はーい」


「冒険者ギルドには金融機関の機能があります。討伐報酬などの入出金が可能です。このお金も、冒険者ギルドならどこででも引き出しできますから、覚えておいてくださいね」

「はーい、わかりました!」


「冒険者証は個人のステータス情報と紐付いてますので、他人が悪用することはできません。ただし、ルシウス君はまだ未成年なので、後見人の方や、保護者であるおうちの方は情報の閲覧や、口座内の資金の入出金や移動が可能です」

「了解です!」


 そうして受付嬢から一通りの冒険者活動に関するレクチャーを受けたのだった。




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