第47話 希望の光
食虫植物に似た形をした湖の魔物に食べられてしまった駿助は、何とか脱出しようともがきました。しかし、助かる術は見つからず、もうどうにもならないと諦めそうになっていました。
詰んだな、これ。
マジで、どうにもならんわ。
あー、ガイア達、大丈夫かな。
あの霧の中、苦戦していたみたいだけど・・・。
まぁ、近衛部隊のおっさん達も必死で守ってくれていたし、きっと大丈夫だろう。
でも、あのカエル野郎がいたな。
たしか魔王軍の工作員とか名乗ってたはず。
あいつ、かなりヤバそうだったけど・・・。
あー、でもなんか大丈夫な気がする。
俺の勝手な推測だけど、あいつは墓穴掘るタイプだ。
自分が呼び込んだ魔物に吹っ飛ばされてたしな。
今頃、デビットさんが霧を生み出す魔物を倒して、危機を脱しているはずだ。
俺のことを探してるかもしれないな。
・・・・・・。
うん、何とか脱出して帰ろう。
どうにもならん状況だけど。
俺はまだ生きている。
諦めたら、そこでゲーム終了だ。
うん、名言だな。
よし、頑張ろう。
一から、いや、ゼロから考えろ。
魔物を倒すのもいい。
倒さなくても脱出できればいい。
情報だ。
この魔物の情報を集めろ。
もう一度、調べるだけ調べよう。
どんな小さなことも見逃すな。
あー、なんか暗くなってきた。
日が落ちてきたんだろうな。
もう、そんなに時間がたったんだなぁ・・・。
長い時間調べたんだけど、新たに分かったことといえば、この壁の向こうにあるスライムの核に似たものが、意外と壁のすぐ近くだということくらいだ。
壁の小さな穴から指を伸ばして届きそうで届かないくらいのところにある。
もう少しで届きそうなのだが・・・。
何とかして、あの核を壊したい。
あの核さえ壊せばこの魔物もスライムのように殺れるはずだ。
・・・きっと。
・・・たぶん。
・・・そうであって欲しいな。
では、どうするか。
もう、指先から魔法を飛ばして壊せないかなぁ、と思っている。
魔法なんて使えないけどな!
だが、やらねばならぬのだ。
他に良い方法があったら教えて欲しい。
誰もいないけどな!
ということで、先ほどから指先に魔力を集中して、何とか魔法を飛ばそうと頑張ってるのだが、上手くいかない。
ああ、もう、暗くて何も見えなくなってきた。
明かりが欲しいな。
光れ!俺の魔力!!
ポワン。
あ、今、一瞬光ったわ。
爪の先がほんわりと光ったよな。
よし、もう一度だ。
光れ!俺の魔力!!
ポワワン。
おおっ、光った!
これが魔法か・・・。
サリバン先生!
これが光なのですね!
って、誰だよサリバン先生って。
そして、なんのくだりだよ。
あー、俺、やばいテンションになってるな。
落ち着け、俺・・・。
落ち着いて考えろ。
やりたいこととは全然違うが、これは魔法だよな。
つまり、俺でも魔法が使える、いや、使えたということだ。
ふふふ、これぞ僥倖。
まさしく希望の光だ!
そう、光の魔法。
うん、いいじゃないか。
実に勇者らしい魔法ではないか。
勇者クビになったんだけどな!
ならば、次は光の玉を作って飛ばす。
そう、指先から光弾を飛ばすのだ。
なんか、やる気が出て来たぞ。
頑張れ、俺!
あー、なんか明るくなってきた。
お日様が昇って来たみたいだな。
やれやれ、もう、そんなに時間がたったんだな。
長い時間、光弾を飛ばすために、試行錯誤してみたけれど。
出来たのはこれだ。
出でよ!ライトクロー!!
ボワン。
何故か、光の爪が生えた。
うん、指先に1センチくらいかな。
なぜ、こうなった?
光の玉を飛ばそうとしたんだよ?
頑張ったんだよ?
でも、なぜか、こうなった。
指先の光が飛ばないんだよ。
飛ばそうと頑張ったけど、飛ばずに伸びたんだよ。
で、爪みたいになっちまった。
はぁ、ちょっと休もう。
この爪、魔力で出来てるんだよなぁ・・・。
パキッ。
あ、ちょっとつついただけで折れた。
脆いな。
ん?
折れた?
ってか、触れた?
・・・・・。
強度は弱いが、物質化しているということか?
いや、物質なのかどうかは分からんが、それに近いものだな。
と、いうことは・・・。
ふふふ、出来るかもしれん。
男のロマン。
ライトソード!!
ふはははははは。
夢が広がるな!
いやいや、落ち着け、俺。
まずは、ここから脱出だ。
こいつを使えば、魔物の核を壊せるかもしれないのだ。
ようし、見えて来たぞ。
出でよ!ライトクロー!
ボワン。
こいつを核にぶっ刺せば・・・。
えい!
パキッ。
・・・折れた。
くっ、届いたけど、強度が弱かった!
だが、しかし。
もう少し強度を何とかすれば・・・。
行ける!
やるぞぉ!
ん!?
何だ?
液体が流れて行く・・・。
壁の穴に吸い込まれているのかな?
あっ!
口が開いていく。
ペッ。
へっ?
吐き出されたぁ!?
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