第524話 ボルボル聖人コラボ視聴
洋介チャンネル以外にも注目のチャンネル、サイトーチャンネル、いやボルボル聖人チャンネルのニューホモサピエンスヴォルヴォルちゃん・・・がライブ配信を始めた
チャンネル登録者800万人、急上昇ランキング1位、サイトーちゃんはいまや時の人だ
マスコミもすでに九州にある実家に取材に行き、彼女の奇行は世間にさらされている
髪が伸びると噂のお菊人形をピンクにデコレーションしていたり、新人Vというだけあってヴァーチャルの体を持つのに普通に顔は出す、果ては自分の家の墓の磁場を計測したりと色々とやばい
彼女は元は理系で頭がよく、アメリカの有名な大学を卒業、それまでは学歴以外全く地味な生き方をしていた
ただ、彼氏と結婚前に破局して何かがぶっ壊れたというのが彼女の古くからの知人の証言である
「銀河流星群世界に光を照らす!秘密発見ポルポル聖人!ニュー・ホモ・サピエンス・ヴォルヴォルだー!」
「なにそれ、僕も言った方がいいの?」
「どうぞどうぞ」
「・・・・・・思い付かないや、レアナー教の元杉洋介だー!」
「だー!」
-だれこれ?-
-俺たちのボルボルは髭おっさんだぞ!!-
-$300だー!-
-返せ!おれたちのVORUVORU を!!!!!-
-¥1129今日は髪の毛ピンクじゃないんだね-
-魔法学校はいれたの?三十路なのに?三 十 路 な の に ?-
-¥50000おは洋-
早速投げ銭で殴りに行く人もいる
洋介チャンネルでは配信はないようだけどどうやらレアナー城の中っぽい
ボルボルちゃんは登録人数底辺で何度も配信プラットフォーム場所をかえて活動している
登録者は少なかったけど、今ではとんでもない登録人数だ
きっと今頃洋介チャンネルのもとには配信コラボの要請が山のようにいってるだろうな
「早速だが、わ が は い !魔力操作を覚えちゃったんだなー!いやー吾輩天才だからなぁ!どうだ?羨ましかろ?羨ましかろ?」
悩ましげなポーズから謎の決めポーズをするボルボル
いや、羨ましいけど?
どっかの秘密警察とかスパイに捕まってしまえと
-うざ-
-30歳で入学、ぷっ-
-どうやって覚えたんだ-
-ミソジ!ミソジ!!-
-裏山・・キレちまったよ・・・来いよ、裏山に・・・・・!!!-
-UZEEEEEEE-
-魔法使ってよ魔法-
「おーおー、羨ましいとの声が聞こえてくるわいなー」
ネットが普及し、動画配信やSNSでは「登録人数こそが偉さ」という考え方もある
であればチャンネル登録者800万人はとても素晴らしいものだろう
億を越える洋介チャンネルから来たものだろうけどえげつないな
「えっと、魔法を使えるように話し合おうとして・・お酒飲んでたらぼるぼる聖人さんは使えるようになったんですよね?」
「んー、吾輩、実は酒の席を抜け出してな~」
「なにしてたの」
「茶色い劇物と魔力水と賢者の石もって炎に包まれてたんだわーHAHAHA」
「・・・・・?」
謎のチョコと謎の水と謎の石を城でくすね・・・手に入れたボルボルちゃんはそれらを触りながら城を散策
魔法について興味があったから魔力の覚醒が出来るような実験室を回って、世界各国が調べているホームセンターの石に宿る白い炎の石
あれと同じ火の上を歩くことで魔力を感じられるようになるんじゃないかという部屋で光る白い炎をチョコにつけて食べて・・・そこで悶ていたらしい
火葬され無くてよかったねと言いたい
「いやー死ぬかと思ったよ、はははは・・・はぁ」
「もしかして阿部が居ないのって」
「真似してたからきっとまだあそこにいるんじゃないかな?」
「誰か助けに行って、脱水は怖いから」
「遥のチョコの犠牲者がまた一人・・・」
「ちょっと母さん!?」
巨乳ちゃんが作ったチョコだったのか、『犠牲者』と『また』ってどういうことだろうか?
-不味くても食う、それでこそ男ってもんだぜ-
-さすがボルボル、さすボル-
-おっぱハルカちゃんってネットでボロカスに書かれてた子だけど料理が壊滅的に下手ってのはマジだったか-
-チョコが覚醒アイテム?-
-メシマズ、いいさ、胸があるもの-
-今の画面からちらっと出ていったのどっちがはるかちゃん?姉妹?若いしおかーさんって嘘だよね?-
-ホワイト(゚∀゚)ファイヤー-
「それで、少年、君はここで魔法学校計画を立てていると聞くが・・・吾輩はやめておいたほうが良いと思うね」
「どうして?」
「んー、この力は危険すぎるからね、少年はこの力を平和利用のために使いたい、そう言っていたね?」
「うん」
異世界と何かしらの形でつながることが地球上では発生しているそうだ
もしかしたら現代の技術では再現できないオーパーツは向こうから来たものかもしれないというテレビ特集も組まれる程度には話題だ
逆に、別の世界から病原菌やウイルスが来ているのではないか?というものやもしもつながったのなら攻撃するべきだという意見などもあって人々の話題となっている
だから悪い気がこちらに来る可能性があって、それを阻止するのに魔法を教えようとしている・・だったかな?
「これは握力計だ」
「?」
「あくりょく?」
「物を握る力を数値化する道具さ、ふんぬ!どやっ!」
23.66kg
ドヤ顔でこちらにちらりとうつったのは、女性ならこんなものかなという握力
「ん?驚かないね?・・あ、ミスったもう一回、ぬぬぬぬ!ぬん!!」
次もうまく行ってなかったようで今度は握力はわからなかったが似たようなものだったのだろう、また思い切り握りしめている
「あれ・・?ちょっと待ちたまえ、フフフ、吾輩の真の力を晒す時が来たな」
「なんで腕の包帯外してるんですか?怪我してるなら無理しない方が良いんじゃ」
「様式美だ・・・行くぞ!!!・・・・・・・もっかい!もっかい!!!!・・・・・・・・・ワンモア!!!!!・・・・・・・ムキー!!!!!!!!!はぁはぁ・・・・あ、行けた」
ついに外される時が来た包帯、指先一本一本まで巻いてるし握力計は握りにくいよね?だけど中二パワー開放しても握力は変わらないのでは?
数値は・・・48.13kg
「えっと、すごい数値なんですかね?」
「きょう、がく、にあたいするすうぉえっ・・・・」
何が凄いのかわかっていないようだ
以前にボブとの試合前でも何度か測って500キロをオーバーしていた洋介だ、握力計はそれ以上測れるものはなかったし、ゴリラ洋介と一瞬だけ言われていたのが懐かしいな
あっ
-不適切な映像がありましたため、美しいレアナー様を写しています、しばらくお待ち下さい-
-HAITA!-
-ウェロロロロロ-
-ミソジのゲ■なんかご褒bウェロロロロロロ-
-¥2222レアナー様かわいー-
-リアルタイム?これリアルタイム?-
-GOOD!ゲロ女のおかげで良いもの見られたぜ!-
「あー、すまんすまん、つまりだ」
指を一つ伸ばして数えるボルボルさん、つられて上を向く洋介
「上じゃない、吾輩の封印されし握力は22キロほどだが、たった数時間の試練で一気に筋力が倍になった、わかるかね?」
「封印を解いたってこと、ですか?」
「ちがう、吾輩のはコスプレ!あぁもう!調子狂うなこの少年は!!?」
「コス?」
「つまりだ、この技術は、一般人が超人に成れる技術だ・・・どのような技術も戦争に利用されるという」
ちょっと面白かった、ボルボルちゃんが通行人や一般人を混乱させる場面はあるあるだけど、逆なんて両親にボコられた以外は見たことがない
でもそうだよね
病院で治癒された人やこの間アメリカで治った人たちも奇行は激しかった
騒動でも車を引きずって壁にしてた人もいる
魔法の技術は、簡単に人の限界を超えられる技術だ
悪人にわたってしまえば大惨事になりかねないだろう
「君は、平和的利用を考えているようだが技術は残り続けるが人は善性だけの生き物ではない、必ず争いに使われる・・・・・・・・・君は、その責任をとれるのかね?」
厳しいことを言うボルボルちゃん、でも、そういう意見も少なからずある
もしも魔法が山手線でぶっ放されたら?いや、電車じゃなくてもそうだけど、洋介くんの登仙病院での光の柱事件はとんでもなかった
東京ドームよりも大きかった、雲に大きく穴を開けた
これは健康に害もない、安全な魔法らしいが
もしもこれが火の魔法だったら・・・・・?
少し考えている洋介くん、いくら人のために良いものでも、それが必ずしも良い方法で使われるとは限らない
包丁と同じだ
食材を切ることに使われるそれは、何億人も人々が使っているが、それで起こった刃傷沙汰や事件・事故も数え切れないほどあったはずだ
「責任は僕が負うものじゃない、人々がそれぞれ負うものだよ」
無責任じゃないか?
具体的に何がどうとは思いつかないが反射的にそう頭をよぎった
「・・・というと?」
「人は皆、自分で生きてるから、大人も子供も赤ちゃんも」
「ならこの技術を広めても君に責任はないというのかい?」
「そうだね、魔力や魔法はきっと何人も殺すことになると思う、子供も赤子も、善良な人もね」
洋介くんはたまに配信しているが、常識が違いすぎると感じる時はある
いつか「ヤクザにナイフを向けられて、殺そうとしたら止められた」と配信で漏れたときもあったがネットでは話題になっていた
普通に正当防衛だと思う
本当かはわからない自称精神分析のプロも彼をイカれていると評していた
「ならばやめたほうが良いんじゃないかな?」
「ううん、この僕が広げたい技術は人を不幸から守るための技術だからね、広められるなら広めるよ」
「・・・・・異世界では、戦争が起きて、身分社会が加護や魔法によって確立してるようだけど、この技術の普及によってこちらの世界でもそうなるとは思わないのかい?」
「なるかもしれないね、だけど、そうだな」
-ボルボルちゃん余計なこと言うな-
-(´・ω・`)-
-エルフの奴隷(お嫁さん)がほしいんじゃ-
-たしかに未知の力が怖いってのはある-
-武器じゃないから誰がもってるかわからないしね-
-でも使ってみたくね?-
「もしかしたら、不要な技術かもしれないし、死者ばかり出すようになるかもしれないし必要のない技術かもしれないんだけど」
考えてしっかり話す洋介くん
彼はごくごく稀に『偉い人モード』で話すこともあるがこういう時はよく考えて真剣に喋る
よく考えたら日本語も不十分ということは異世界語ベースの思考をしていて、言葉が見つからない可能性もある、なんて考察もされていた
「もしもこの技術がなかったら、この世界が何もできずに滅んじゃうかもしれないんだ・・・大地は朽ちて、食べ物は無くなり、人は息もできなくなって・・・魂も穢されるかもしれない、生きていても死んでいても、ずっとね」
実際どんな脅威なのかはピンとこない、見たことも聞いたこともない
しかも恐怖を煽るのは悪質な宗教の典型例でもあって怪しさもある
異世界では武力の直接行使が当たり前でそうしないと生きていけない世界だということも垣間見えたし、人を殺したことがあると分かる内容もショッキングだった
もちろんそれで騒ぐ人道主義者もいたが、じゃあそれで悪党によって他の人が傷つくのは良いのか?となったが「それはそれこれはこれ、傷つけないかもしれないじゃないですか」と言っていて論争が起きていた
武器を持って明確に襲いかかってくる人が関係ないかもしれないなんて考え方はおかしいと思う
彼には彼なりの倫理観があって、包丁のように『出てしまう犠牲者のマイナス』よりももっと多くの何かは分からないが『彼なりのプラス』を重視しているようだ
「ふっ、それでこそ勇者だ・・・いいだろう、君のもたらす変革を世界は受け入れるだろう、受け入れざるをえないはずだ!!良いね良いね素晴らしいっ!!!」
上機嫌なボルボルちゃんだがどんな技術だろうとはじめは混乱が起きるだろうし良い面も悪い面もある
「わかったよ、誰がなんと言おうと広めるが良いさ少年、愚問であったとこのヴォルヴォルが謝罪しよう」
「どこか謝る所ありました?」
「ははっ!良いな少年!無垢なところが大好きだぞ!」
他にも魔法の効果や持続時間、神様との対話方法なんかもボルボルちゃんは聞いていたが・・・一時小休止を挟んでレアナー様もお菓子を食べた
「ふぅ未知への尽きぬ知識欲もあるがそろそろ時間だ、吾輩ばかりの質問もよろしくはないだろう、どうだ少年?吾輩に質問はあるかね?」
「ボルボルさんは聖人なんですよね?」
「そうだな」
「何の聖人なんですか?」
「銀河流星群世界のだが」
「ポルポルなんですか?ボルボルなんですか?」
「ボ、ボルボルで」
「その、眼帯昨日はつけてなかったけど目が悪いんですか?包帯も少し汚れてますけどきれいなものを使ったほうが良いんじゃないでしょうか?あ、もしかして気分がわるいのってお酒じゃなくて聖人だから何かの対価が支払われてたり」
-やめてさしあげろ-
-そこは突っ込んじゃ駄目-
-<ヴォルヴォル> どうしよう、適当に考えたチャンネル名でそこ誤字っただけとか言えない-
-聖下は厨二病をわかっていないようだ-
-wwwm9(^Д^)プギャーwww-
「・・・・・・・・・・・・・・・か」
「か?」
「かっこ、良くないか?」
「え?・・・・・・え?かっこよさで眼帯付けるんですか?!え?なんで?「えぇい!配信は終了!じゃあな下僕共!!」
配信は終わった
ボルボルちゃんがやり込まれてるところなんて初めてみた
きっと今からこの配信はニュース特番とかでさらされるんだろうなぁ・・・ここはカットしないで欲しい
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