第496話 ダートの白い家
パイ生地を作った後は焼けるまで時間がかかったりしているとダートの奥さん、ステファニーさんにレアナー教のものに興味があると言われた
だけど「素晴らしく美容効果の高い透明で輝く素晴らしい美容品」と言われても意味がわからない、なんか翻訳がうまくいってない気がする
「それは、どんなもの?」
「吾郷が使っていたフェイスパックだよ」
「・・・・・??え?吾郷って美容に興味のある人だったんだ」
「なんでもレアナー城で買って、妻に渡す前に安全か確かめるために自分で使ったようだ」
「なる、ほど?」
なんだそれ
レアナー城の中のショッピングセンターは信徒たちがいろんなものを作っているし僕も把握しきれていない
「ちょっと待ってて」
杖を取り出して城に【転移】して帰る
人の少ない場所に出たはずだけど人がいた
「あ、聖下、おかえりなさい」
「しー!」
<しー!>
こっそりと移動する
なんか黒葉に会うのも、せーちゃんに会うのも照れくさい
魔力が強くなったら身体が結晶化するのは稀にある現象だ
肉の身体よりも魔素の割合が大きくなったら起こりやすい
だけど煙のように霧散したりすることも有るしそうそう起こるものではないのだが・・
せーちゃんが食べていたのは、ポポンと阿部が回収していた僕の髪の辺りから出てきたもので・・・なんというかフケ?とかそんな感じに思える
確かに魔素のこもった結晶体は便利に使われるものだけどさ
まさか食べられるなんて・・・
それと真っ赤になった黒葉の反応
今でも恥ずかしくてドキドキしてしまう
ショッピングセンターに行くと信徒さんが商品を陳列していたので吾郷の買ったものを教えてもらって幾つか持っていく
ちゃんと僕の持ってる9800レアナーを支払った
うむ、顔につけるものなのねこれ
ついでにランディが居たので声をかけると一緒に行くことにした
ボブはなんか鍛えるのが楽しいとかで滝行をしているそうだ
ランディはショッピングセンターでお土産に買ったものを持って帰りたかったようだ
「おまたせー買ってきたよー、プレゼント!」
「ありがとう!うれしいわ!!・・・あら?そちらは?」
パイを食べさせてもらうんだし、なにか後で渡そうと思っていたので欲しい物があるならちょうどいい
ステファニーさんだけいてダートは居なかったがランディの出現に銃を持った男達が現れた
「動くなっ!!」
「腹ばいになって後ろ手になれ!!!」
「まって、大丈夫よ」
「お久しぶりです大統領夫人・・・タスケテ」
レアナー城のショッピングセンタールール「買ったものは自分で持って帰る」だ
信徒であるボブとランディは大金を持っていて盛大に豪遊したらしい
信徒ではなかったダートは制限である100万円持っていて、吾郷は手持ちのお金でショッピングしたそうな・・・僕が居ない間に楽しんでいたようで何よりだ
だからランディは両手両足に顔にまで大量のお土産を買っている
腹ばいになれと言われても動けないランディの荷物を僕が下ろしていく
一応ダートとボブは友達で、ランディは大統領夫人とは顔見知りらしい、すぐにボディチェクがされてなんとかなった
一緒にパイを食べて、ランディは眠たそうにしていたので僕も寝ることにした
ミートパイはお肉がジューシーでサクサクと美味しい、いくらでも食べられそうというとお土産にいっぱい作ると言われてお願いした
<おいしーですぅ!>
「レアナー様も美味しいって言ってます」
「まぁそれは良かったわ!こっちのクリームたっぷりのも美味しいですわよ?」
<わーい♪>
レアナー様はクリームたっぷりのパイ、白いクリームの中にフルーツがたっぷりはいったものを楽しんでいる
ステファニーはチョコやベリーのクリームを載せたパイもせっせと作ってくれている
パイは主食に食べることもできるがでもお菓子や間食としても食べることもできるそうだ
上に載せる食材でいろんな種類になって、どれも違った魅力のものが作れる・・奥深い料理らしい
ダートに「遠慮なく食べていってくれ!」と言われランディに「アメリカでは出されたものをもりもり腹いっぱい食べる礼儀があるんだよ」とニヤニヤ言って来たので遠慮なく食べる
パイだけではなく大きなエビや魚、大きな肉など大量に出てきた
シュリンプカクテルという茹で海老をいっぱい並べられていたものやお肉を包んだパイ、おおきなステーキ、どんどん出てきた
僕の考えていたパイはアップルパイのような種類である
だけど肉を生地で包んだものもパイと言い、下に生地を作るのもタルトとも言うようでいまいち分からないがこのパンの生地を使えばだいたいそんな感じだと覚える
こういうのは国によっても違うし勉強になった
僕が大量に食べるのをステファニーは驚いていたがそれを見てダートとランディは笑ってみていた
ボディーガードの人には動画を撮られていた
大きなテーブルに三回分はおかわりしてお腹いっぱいになって眠くなった
ダートが買い物していた時なんかは世界中から食料を集めていたし、最近あまり寝ていない
明日布教するならシャキッとしないと
少なくともこのモヤモヤ恥ずかしい気持ちは一度寝てすっきりしたい
黒葉の真っ赤になっていた顔を思い出すとなんだか僕も恥ずかしい
「おやすみー」
「おやすみ、良い夢見るんだぜ?」
ベッドに寝転んで布団に入って胸を抑える
やっぱり少しドキドキするような恥ずかしい気持ちは残っている
口をつけたのは・・・治療行為で、人工呼吸のはずなのにな
ふかふかのベッドだけど、ルールがいないと不思議と落ち着かないな
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