第504話 ロムの異世界勉強


ガムボルト・・・先生に異世界での生活を教わることになった


この世界は魔法や魔道具という文化がないにも関わらず大きく発展しているようだ


アオキチキューの情報の纏められた[異世界辞典]の情報からは想像もできないほど発展したそうだ



春日井と黒葉は生意気にもボクに対抗心があるようだ



やれやれ、ボクこそがお父様にふさわしいというのがわかっていないようだ


婚姻すればなんと呼ぼうか?洋介くん・・・洋介・・さん?こちらでは愛する旦那のことをどう言うのだろう?お父様も悪くないが後で調べねば、彼にふさわしい呼び方があるはずだ


ただこちらの生活様式にも慣れたほうがいいだろうとこちらにもあちらにも博識なガムボルトに教わることになった


先生はこちらの世界の言語を完璧し、生活できているようだ



だが、そんなに違うものなのか?



そう思ったが何かの板を見せられた



「この星の裏側の今ですわ」


「・・・なるほど?」



意味がわからない



「この板をスマートフォーン、スマホと言い、世界の情報や歴史を学べる・・・元杉の撮影用の魔道具の元となった道具です」


「へー・・これが」



板を指で動かし音がするとボクが写っていた


更に誰かが板の中で歌い始めた



「うわっ!?」


「危ないですわ!」



板の中から声が!!?


誰か入っているのか?!



「なんなんだいこれは!?」


「スマホですわ」


「声も出せるんだねこれ、凄いな」



つい驚いて手から抜け落ちてしまったが燃やす前にガムボルト先生は手早く回収した


こちらの文明は驚くほど進歩しているようだ


魔道具だと音は入らない、ただ高性能なものであれば呼べば飛んでくるし更に撮影した対象が動けなくなれば別の仲間のもとに飛んでいき位置を教えるといった機能がある


もしかしたらこれもそうなのかな?



少しこちらの世界を板を通して見せてもらったが、世界が違いすぎる



こちらの世界では科学という力で空を鉄の塊で飛び、機獣無しで人が機獣よりも速く移動する


神は見かけないが、魔獣も居なければ戦争自体もほとんどなくなっていて貴族が平民と変わらない生活をしているなど・・・信じられない世界であった


ガムボルト先生は「勉強にはこれが良いですわ」と「シアタールーム」に連れて行ってくれた


大きな劇場のような大部屋、坂にたたまれている不思議な椅子、撮影用の魔道具の巨大なものが壇上に映し出された


しかも場面の切り替えや生々しい音も入る



後ろに人が居て話してるわけじゃないんだよね?後で人や楽団が居ないか見に行こう



魔法少女の「アニメ」というものを字幕付きで見たのですが彼女たちの生活の仕方や食べ物、変な魔法に魔物、異世界の言語とわかりやすい字幕が見て取れる



「魔法あるじゃん?」


「ふぃくしょんですわ・・・こんな力があったら良いなっていうものでこちらの世界には魔法はありません・・・少しばかりちょいすを間違ったかも知れませんね」



ふぃくしょんが何かは分からないが少し違うらしい、一般市民であっても個室のある家を持ち、貴族でもなかなか手に入らない美しい鏡を使う


白く清潔な壁、触れれば水が出る当たり前に魔道具を操作しているし、花瓶のような高価なものが置かれている


魚を咥えた魔獣の置物もあるし・・これはこちらの貴族の家?


建物は低く、砦も城も魔物に対する外壁もない


「アニメノエイガ」というものは終わって、この世界の情報を「シアター」でそのまま見せてくれた


空から鮮明に映される地上、人々の建物、目に映らないほど透明なガラス


わからないものばかりだったが戦車や飛行機という強大な力もあるし、ごちゃごちゃした船で山のように魚を網で巻き上げ、人々は音楽や舞踊に読書をして楽しみ、工場で凄まじい速度で物を作り上げる



様々な絵が写しだされていく



言語も入っているが多くの言語があって何を言っているのかは分からないがどの絵にもとんでもない情報が詰まっている


害獣であるはずのゲーガの幼体のような生き物、くじらという巨大な生物


魚は色々と美味しく食べられるものらしい、すっごい味したけどねあれ・・・・・あ、少しだけ付けて食べるものなんだあの緑のやつ・・


ミルミミスはおいてあったの鷲掴みで食べてたけど・・・・・・・・・付け合せの野菜だと思ったのにまさか香辛料だとは



「本が、安価?」


「そう、見てみるといいですわ・・・きっと1人では100年経っても読みきれない本が、この世界にはありますわ」



ボクが収集していた本、とても貴重で、ボクの宝物だけどこちらには本屋という本を売る専門の商店があり、安価に本を売っているそうだ


しかも写本する必要も無く、魔道具が目にも留まらぬ速さで文字を書いて、積み上げられていく


速すぎてその筆はボクの目では見えない、なんでその魔道具を通ったら文字が紙に書かれているんだ?その見えない筆がほしい



「・・・・・」


「わたくしも驚きましたわ、このスマホにはもっと多くの情報が入っていて、今なお増え続けていますわ」


「神器?」



人の力でそんなものが可能なはずがない


この板に100年経っても読みきれない本よりも多くの情報が入っていて、更に日々増え続ける


神の所業だ



「いえ、科学という魔力のない人間でも使える力ですわ」


「どうやって動いてるの?」



魔力は感じないし、精霊がいるわけでもない


「カガク」というと難民を集めていたお父様がエルフやドワーフにこういうのもあるよって教えていたキソカガクだろうか?


雑草だろうがゴミだろうが一つずつ調べ尽くしてそのものの可能性を探し続けるという考え方


お父様は「テレビでやってた」とよくいってたけどこちらの世界では誰でも知識を得ることが出来るのか



「この城の地下には犯罪者が居て、棒をぐるぐる動かす力を雷に変えて、それを使って居るようですわ」


「よくわからないんだけど」


「雷の力ですし、きっと犯罪者の魂を削っているのではないでしょうか?」


「そ、そっか」



軍事機密だろう詳細な世界の地図も映し出され、空の彼方にろけっととかいう道具でアオキチキューを離れた


あまりの情報量に目が回る


ボーッと見ていて気が付いた・・・こちらには獣人や亜人種がいない


差別も酷そうだな、根絶やしにされたのか、それとも撮影用の魔道具を使えるのは純人種だけという制限でも有るのか?



「生きにくそうだなぁ」


「そうでもありませんよ?」



信徒から渡されたぽっぷこーんというものを食べてぼーっとしていると肉料理の映像が写った



「そうだ!オショーってのは何処に居るの?」


「どなたですの?」


「あれ?後宮に居るんじゃないの?美味しいかれーの子」


「わかりませんわね、美味しい?」


「美味しいお肉の料理だった」


「あぁ春日井のことですの?」



春日井がオショーだったか・・!


それはそうとこのスマホ、なんでも調べられるのなら・・・



「これって今のお父様のこともわかるの?」


「調べてみますわ・・・・ん?んん、んんん??」



近づいて見てみる


お父様は金髪の女性に向かって背伸びして高価そうな装飾品をつけようとしている


見たことのない女だが、顔を赤くして、明らかにお父様を意識している



「ちょっと、用事ができましたわ>」



明らかに怒っているガムボルト先生


あれか?浮気ってやつか?誰だったんだろうか?この女は?



「え、まって、なにそれ」



ボクも気になるんだが?



「<もう少しここで勉強してると良いですわ>」


「う、うん」



先生に気圧されたのもあるがこちらのことを知っておきたいのも事実だ


これ以上ボクの頭にこの世界の常識が入るかはわかんないけど

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