第477話 最悪のニュース
真莉愛はおかしくなってしまっている
真莉愛は私の気になる男の子と付き合い始めて・・少し気分は良くなかったけどちゃんと祝福した
レアナー教のニュース、彼らの建物が燃えたのを見て真莉愛は引くほど喜んでいた
日本のレアナー教のニュースは全世界の注目になっている
だって怪我人や病人が治ってしまうのだ
どんな名医でも治せない病を治し、老化で身体を動かしにくかった人が活き活きとロードバイクで走り始められる
100歳の老人でも、だ
しかも女性なら美肌の効果まである
飛びつかない女性はいないだろうし、私も興味がある
当然、日本出身の彼女にレアナー教のことを聞く人は多い
しかし彼女はレアナー教のことを聞かれると嫌な顔をしていた
日本ではあまり宗教について声を上げて話すことがない、宗教アレルギーという言葉もあるような国だ
アメリカや他の国では「神様のおかげだ」「神に感謝を」なんて言葉が出るのは日常だし、誰にはばかることもなく言えるが日本ではそうではない
自分の家族も、そして自分も宗教に属しているのに「無宗教」と言う人が日本人にはよくいる
ただ信心深い人もいるにはいる
お地蔵様に天狗様、天神様にお稲荷様、信じる神に毎日祈りを捧げる信心深い人は存在する
だから真莉愛もなにかの宗教に信心深い人で、レアナー教のことをよく思っていないのかもしれない
続く騒動にますます上機嫌になり、鼻歌を歌う真莉愛だがそんなにも人の不幸が楽しいのだろうか?
マジカルボーイ、魔法少女洋介が居なくなってしばらく経過したが・・レアナー教と日本政府が和解したニュースを見て
「くそっくそっくそっ!!!騒動で死んでくれればいいのにっ!レイプされちまえクソビッチがっ!!あぁもうっ!!!!!」
皆で食べていた食事で、ブチギレて食べ物の載った皿を投げて割ってしまった
この家の主は高齢なおばあさんなのだが真莉愛が来たときはそれはもう喜んでいた
なんでもこの部屋には同じくマリアと言う名前の人物が居たらしい
だが真莉愛は傍若無人で酷い振る舞いをしている
ブランドバッグやコートを買いに都心部まで行ったりして門限を無視する
朝帰りもしょっちゅうで酒臭いことも多い
果ては彼氏でもない男性を部屋に連れこんだりもしている
たまに聞いていた屋敷のおばあさんのマリアという姉の話では姉はとても素晴らしい聖女のような人だったそうなのだが「姉が帰ってきたみたいで嬉しいわ」なんていって・・もう結構な歳なのかもしれないな
僕の何が悪かったんだ
もうすべてが嫌で嫌で嫌で、どこにも行けず、部屋からも出られないでいる
また裏切られるかもしれない
だから全ての人との付き合いを絶った
散乱するゴミ、もう何日も開けていないカーテン
食べ物は宅配で、飲み物は水
でもこんな生活では駄目だと運動だってしている
1畳ほど、ゴミをどかしてその四角く空いた空間を歩いて、歩いて、歩いて、日に1時間ほど歩いて、歩きながら思案する
何が駄目だったんだろう・・僕の、何が、駄目だったんだろう
遥と付き合っていた頃は人生の最高だった
彼女はとても美人で、活発で、仲間思いで
気が付いたらナンパもしたことのない僕から付き合ってくださいなんて言葉が出て、結婚してほしいなんて言っちゃって
毎日遥のことばかり考えていた
何をしていてもあのときの僕の発言は良くなかったんじゃないか、もっといい言い方があったんじゃないか?なんて思っていた
失言してしまうことも多くて、キスなんかも結婚してからロマンチックにしよう、結婚式でするのもいいね
なんて気障なことを言ってしまったり、遥にいい男を演じたくて、本当に馬鹿だったと思う
あれは、夢だったんじゃないか
それに真莉愛、彼女とは一緒にいて、いい友達だったはずだ
なのにめちゃくちゃになってさ
今だからわかる
好きになって、だからこそ格好つけたくてやらかしたり、馬鹿なことに突き進んだりもしてしまう
真莉愛にとっては僕は奪い取りたい程好きな人だったのだろう
僕も真莉愛を好きになっていたのに、どうしても遥のことが忘れられなかった
そして、あんなことになった
人生のモテ期は3度あるというが、それならもう僕が誰かとお付き合いすることは無いのか?
胸が重く、苦しい
息ができない
起きているのに悪夢の中にいるようだ
レアナー教のニュースを見たときは『間違っているのはレアナー教で、僕は間違ってなかったんじゃないか?』と思ったがレアナー教は燃え尽きてはくれなかった
あのガキは遥と婚約して、更に別の人とも付き合っている
遥はそれを微笑ましく見ている
僕と何が違うんだよ
あのガキがいいなら僕だってさ
あぁ、全部燃え尽きてくれていたらよかったのに
遥も真莉愛も律子もガキも、全員、全部、燃えて消えてくれないと
現実という悪夢が続く
極稀に外に出るときはもう、酒と煙草を買うときだけだ
――――・・・だけど、外になんて出たくない
布団の中の、優しい夢の中にしか、もう希望なんてないのだから
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