第365話 雑談配信



「皆さん久しぶりー・・わ、たくさん見てる」



チャンネルの登録人数は32億人


個人だけじゃなくて荒らす人や広告業者、それに投げ銭いっぱいしたい人が複数アカウント作って登録してるらしい


運営の人が荒らしが多すぎるから対処してくれてるらしい、登録者が一度大きく減るかもしれないけど続けてほしいって連絡が来た



予告なしのLIVE動画なのに数万人単位でぐんぐん視聴人数が増えていく


動画タイトルは『レアナー教としての日本政府への話し合い』だ


今回の動画は色々と準備もしてくれたみたいだけど話すのは僕になった


フィンリーが僕の代わりに話すのはレアナー様的にだめだった


今でもレアナー教の中で僕、別人かと思われることあるんだけどね



それと僕の言葉で、僕の決めた決断を話すことが大切らしい



「僕が異世界にさらわれている間にこちらで色々あったみたいですね、ビルへの立ち入り、倉庫の火災、城への強制捜査など」



言葉にすれば酷いな


火災や強制捜査と弱い言葉で言ってはいるけど放火と襲撃と言葉を強く言いたい、本当に酷いよね


黒葉がカンペでプツプツ動画が止まっていると教えてくれた



「あー、動画が止まってるらしいですけどこのまま続けますね、え?すこし、視聴人数が増えるまで場をつなげ?コメントからなにか話すと良いんだっけ?こう言うのって」



動画の人数が増えて、もう少し安定するまで場をつなぐことになった


コメントは早すぎて読めない


-遥さん出して!-

-ステイツに来ない?-

-¥50.000安藤どうなったん?-

-ルールちゃんだしてー-

-¥30.000なんでそんなに大きくなってるの?-

-戦争する?ウォーなの?第一次宗教戦争なの?-



マウスを動かして気になったものに答える


コメントを読むにはどれを読んだか他の人にもわかるようにコメント自体を読んでそれに僕が返したほうが良いんだよね



「なんだろ、数字付きのコメントって前からあったけど皆が知りたいってことなのかな?」


「なんで大きくなったのか、うーん、向こうで寝てる間に大きくなってた、次」


「やすふじ・・ってのは誰?あ、あんどうね、あんどう・・・・うちに火をかけたクソ貴族だよね?奴はうちの地下にいるよ」



幾つかの質問に答えていく


本来なら本題に入っていてもおかしくないんだけど、まぁ仕方ない



「服はどこで買ったの?もらった」


「戦争するの?配信が安定したら後で話すね」


「責任を取ってじ・・しょく・・するのか?辞めるってことかだよね?僕は死ぬまでレアナー教徒だよ、辞めないよ?黒葉が神官長になってくれたらいいなって思ってはいるけど」



無理ぃ!?と聞こえるけどスルー、僕は人の取りまとめは苦手なんだ



「そこは成長してください」


「頑張ってみるよ、心読まないで・・・えっと婚約者は何人居るのか?12万人ぐらい結婚した」


「いない間何してた?だいたい寝てた」


「jajajajajaこれよく見るけどどういう意味だろ?スペイン語で笑ってるってこと?なるほどジャジャジャジャ!」



コメントの内容は日本語がメインだけどそればかりじゃない


何が書いてあるのかはわからないが読めそうなものを読んでみる



「日本政府と和解の可能性はあるの?後で話すね」


「燃えたものは大丈夫?倉庫の中にあったお金やお手紙、贈り物が燃えたよ」


「暴走族はレアナー様の指示か?いや知らない、あのかっこいいバイクっての僕も乗ってみたい」


「他の国に行っちゃうの?後で話すかな?いや多分そのままだよ」


「かしこいものの石ってなんだったの?なにそれ?」



ぎりぎり読める、漢字は大分勉強したからね・・・書くのはまだ無理なの多いけどね


何言ってるかわからないコメントのほうが多い、早すぎて少し動かすとさっきまであった文章が全部消えていく



「怒ってる?怒っちゃってる?おこるだよね?うーん聞いた時は凄い怒ったよ」


「警察署に出頭するのか?しないね、謝ることしてないもん、むしろ伯父さんが拷問受けてたみたいだけど?銃で撃たれた人もいるんだけど本気でやる気なら言ってよ?僕が殴り込みにい・・いたいいたい!?はるねーちゃん・・・ゴメンナサイ、なんでも無いです」




1時間経って視聴人数が7億人を超えたがまだ増えていて配信が安定しない


適当な動画を流してもらう


僕の大食い動画だ


豚汁美味しかったなぁ・・僕の食べるのを見て何が面白いんだろうか?


9億人が視聴してくれてるけどもういいかな?


ある程度安定したっぽいので見ててカクカクしててもそれはもう仕方ない


あーかいぶってやつを見てもらおう









起きると結構な日が経っていた


すごく体が軽い


魔力をたくさん使ったからか、体の具合が悪かったからなのか、とてもぐっすり眠れた


黒葉やはるねーちゃん、康介伯父さんに信徒や神官の話を聞いて・・・最後にレアナー様と話した



<よーすけのしたいようにするといいですぅ>


「でもうまくいくかわかりませんよ?」


<責任は私に、自分たち皆にあるですぅ>



・・・・・確かに、信仰は個人のものだ


何かを信じるのに他人の許可はいらないし人に言われてやるものではない、自らが進んで行うものだ


だから何があってもどんな結末になっても、どうするか、どうなるかはその人次第だ



同じ宗教でも過激派や保守派というものが現れて、宗教自体を動かそうと頑張る


今回、開戦か降伏勧告、交渉か和解か・・・どうしたってレアナー教に影響がある


どんな決断したって全員の考える方向にはならないだろう



だけど、だから、レアナー様は僕に任せた



それについて来れないのならそれはもう仕方ないのだ



エッサイやイセイケはいつも決断していて凄いなぁ・・僕もこういうことに慣れていかないととも思うけど戦争の決断を慣れるようになっちゃダメだよね


もっとやれる準備もあると思う


だけど国際情勢や日本政府がどう動くかの問題もある


康介伯父さんもはるねーちゃんも黒葉もヨーコも、皆、僕に任せてくれた


なら、やろう



<私たちはやれることをやるだけ、失敗しても良いんですぅ・・だからがんばりましょー!>


「おー!」


「「「「おぉおおおおお!!!」」」」



そうして僕は動画を撮った

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