第355話 康介の逮捕
警察署でレアナー教の事案について話していると事は起きた
そのまま拘束され、捕まってしまった
何の罪だとも思うが答えない・・・がいつかこうなるんじゃないかと心の何処かで覚悟はしていた
護衛の聖騎士候補たちには受付と駐車場で待ってもらっている
レアナー教は新興宗教だし急成長に制御が追いついていない部分がある
日に何十人も増える信徒、雪崩のように増える資産、レアナー教に就職する神官候補
人も金も増えるとそれだけ問題も増える
宗教は儲かると聞いたことはあるが想定とは桁が幾つも違う
信者になるのは何も治療を受けた人間だけではない
治療を受けた人の家族やそれとは関係なくレアナー様も人気で何もしていない人も信徒になりに来る
有名なサッカー選手を治してそのファンたちがなることもあれば、全く思っても見ないところからも信徒は増えていった
ミニマリストというのか断捨離というのか・・・一度自分の全てをレアナー教に捧げて生まれ変わたという人もいる
全財産を喜々として支払うことで信仰心を試しているのかもしれない
他の信徒も喜んでお金を寄付していく
もうその処理だけでも大変すぎる
他の宗教団体の人数や内情を知っているわけではないが洋介が帰ってきて僅か1年と経っていないレアナー教はもう『新興宗教』でくくられて良いものではない、もはや巨大宗教と言ってもいいだろう
なのに集団の代表は法的には洋介ではない
宗教法人と強引に認められた時に役員を三人選出する必要があった
洋介にレアナー様はついているし実質的には完全に洋介が代表であることは間違いない
が、役員になれるのは成人済みでなければならず、洋介は未成年で当時は死亡の認定を受けていた
神であるレアナー様に人権は認められていないため代表には出来ない
吾郷さんは裏から政府の人間を回して使いたかったみたいだけどそういうしがらみは後々厄介になる可能性もある
私は弁護士であった関係で席にはつかず、外部の立場から助けたかったのだけどそうはいかなかった
栄介と詩乃さんも事故によって死亡した人間だし帰ってきてもそれは認められない
父さんに洋介が頼めばすぐにでも了承されるだろうが流石に年寄りの冷や水だ
父さんは父さんで人脈もあるし城の麓がうちの人間が多いし土地なんかの交渉を引き受けてくれている
信徒や神官用のタワーマンションを建てるとかで楽しそうだ
そうなると仕方なしに私が役員となった、徳田さんはヤクザの元組長だから更生しているとは言え論外だ
役員の残りの2人、遥ちゃんは確定で奈美ちゃんも二つ返事で了承してくれた
「本当に良いのかい?」
「私はもう覚悟ができてますから」
一度洋介の洗濯物を洗う前に持っているのを目撃してしまい「この子は大丈夫か?」と思ったものだけど、真剣さが伝わってきた
まぁ弁護士という立場に収まりたかったが私がレアナー教の代表となることで弁護士団の裏切りを防げるかもしれない
問題だらけのレアナー教、弁護士1人ずつ背景まで調べる必要があってなかなかうまく進まない
と言うか問題が次々に舞い込んでくるので警察署や関係各所に何度も足を運んでいて遅々として進まない
いつか誰かがやらかして責任を取るのは役員だ
こうして連れて行かれる覚悟はあった
遥ちゃんは洋介を止めるストッパーとしての役割がある
昔から洋介は遥ちゃんの言うことは聞いてたしな・・栄介の教育の賜物か俺や父さんには悪戯をしてもいいと思っている節が洋介にはあるし大分常識がない・・・それはそれで可愛いが
更に奈美ちゃんは治癒魔法をいち早く覚えて治療に携わっている
大神官という役割をレアナー様と洋介が言っているのは唯1人、彼女が居なければ洋介の不在では人死が出る可能性もある
当然この2人をこういう折衝に当たらせることは出来ない
そもそも成人はしているが大学生だ
警察署でなんの容疑か捕まってしまったがこういう場合、捕まれば中から出来ることはあまりない
仮に別の人が捕まった場合には外から様々な方法で手助けすることができる
警察の質問内容も意味がわからない
宗教団体の設立や謎のバリアについて、栄介や洋介の真実は?本当に生き返ったのか?などとなにか特定の事案についての質問ではなく的をえないものばかり
私が弁護士と知っても高圧的にあの手この手で何かを喋らせようとしてくるので黙秘の構えだ
普通の警察官の反応ではない
・・・・・そして彼らを私は見たことがない
何度もレアナー教の問題で警察署には足繁く通っていた私が、だ
普段は私が弁護する側なのになんでこんなことに・・
余計なことを喋って不利になることを避けよう
録音されているだろうし一部を抜粋とかされることは考えられる
「さっさと吐いちまえよ、楽になるぜ」
「名前と階級、所属を答えてはもらえませんか?」
言葉を選んで丁寧に聞く
警察官はこれを聞かれると警察手帳規則に則って名前と階級を答えないといけない
「言う必要はない」
「いいえ、あります法的に「いーや!ない!なぜなら貴様らは危険な宗教団体である!俺達の名前を上げることによっては標的となる可能性があることから言う必要はない!!」
・・・めちゃくちゃだな
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