第312話 仮面の男と安藤


最悪だ


レアナー教への反発は大きい


とは言え最近は世間が味方してくれて過激な報道は鳴りを潜めていたはずだったのに



「安藤・・面倒なことをしてくれましたね・・・」


「なんだ!?貴様は!!?」


「私が誰かなど貴方は知らなくてもいいことです、これから貴方は自らの行いを後悔することになるでしょう」


「わ、私に手を出すなど、許されることではないぞ!!?」


「連れてきてください」


「「はっ!!」」


「私に手を出してっ!警察、警察が!!自衛隊がやってくるぞ!!!??」



屈強な聖騎士に掴まれた安藤


喚くが無視だ


彼が行くのはこの城の中でも最も恐ろしい場所、牢獄の更に奥


『地獄』と名付けたエリアだ


他のエリアと異なって石化した状態でのみ1000倍速で体感速度は進み、普通の人間がいれば通常の速度で進む


自傷も自害も石化によって許されない


死にたくても、死ねず、ただただ反省を促し苦痛を与える



本来なら私がこんなことをする予定ではなかった



入るだけで石化するエリアで自由に動くためにはこの仮面が必要だったからつけたまでだったのにな


安藤を放り込んで一旦放置する


意識はあるが動けないのはさぞ苦痛だろう・・


まだ出来たての地獄エリア、今後更に苦痛を与える方法を考える予定だが今はこれでいいだろう


食事をひどくするとか、地獄のような労働をさせるとか・・・



私は表舞台には出ないはずだったのに



「G、A、レアナー教の緊急事態です、貴方達にも働いてもらいます」


「勿論だ」


「既に暴走している信徒グループを調べている」



レアナー教秘密情報局


そう名付けたエリア、日本や世界各国のレアナー教に関する情報を集めるエリアの一角


主に元スパイや元の生活に返すことが出来ない人はここで働くようにしている、暗部とも呼ばれる


多数のモニターとPCでリアルタイムの情報を更新し続ける


ここは外の2倍速で活動し続けている、ネットが高速回線であるから不具合は感じにくい


叫ぶように情報の飛び交ってる現在、トップの不在は問題だ



レアナー教のトップはレアナー神、元杉洋介であり、その次に元杉康介、元杉栄介、元杉詩乃、黒葉奈美、春日井遥


更にその次点で信徒徳田、信徒金道、信徒春日井亮二、春日井直子となり、更にその下は一般信徒だ、あとハゲ村と私



現状彼らは全員行動できない



春日井亮二と春日井直子、土地や家屋の問題を任せている金道はこの裏側のことを知らないし、連絡がつかない


ガードによってこの3人は連絡を絶ってセーフハウスに連れて行っているし動きようもないはずだ


神も洋介聖下も春日井遥、黒葉奈美もいない


この状況下で最も頼れる元杉康介がトップに居るべきだが警察との折衝中に拘束された



元杉栄介と元杉詩乃は爆弾だ


人間不信となった彼らはゴーレムに乗っての活動が多く、たまに突拍子もない事をする


あのaiシリーズという神様製ゴーレム達は一般的に普通に大量破壊兵器と見ることも出来るだろう


それに2人の魔力でこの城の機能は維持されている、動いてしまっても怖いし、そもそも動かせない



親父とハゲ村はすぐ捕まった



・・・覚悟を決めないとな




「全員、傾聴!!」




仮面を外して顔を見せる



「私はR、定村陸斗がここからの指揮は私が行うことにする!」



AとGが一瞬驚いた顔をしたがすぐにやっぱりなって顔をした


散髪屋として仲良かったし信頼を裏切った


すごく申し訳ない



「「イエッサー!!!」」



「「「「イエッサー!!」」」」



2人がビシッと敬礼してくれたお陰で少し間があいて周りの人も敬礼してくれた


本当に、表に出ないようにしてたはずなんだけどなぁ・・・嫁も居るし


ハゲ村は基本アホだ、暴力癖がぬけて徳の高そうな神官に見えるぐらいには柔らかくなりはしたがアホだ


こういう事態では元の性格が戻ってドス持って突撃しかねない



「A!マスコミを襲ってる一般信徒の統制を頼む!殺すよりも連れてきて牢獄に入れるように誘導してくれ!」


「わかった」


「G!野党を襲う連中を任せてもいいか?!」


「了解!」


「それと・・A、G、ゴメンな」



許されないかも知れないが謝った


彼らからしたら私はレアナー教側の、牢獄に入れた1人だ


昔から気の利く陸斗って言われて裏稼業でも重宝されてきた


なんの因果かレアナー教に来て、彼らの更生プランを考えたのは私だ


恨まれたっておかしくはない



「ん、気付いてたから良い、少し気にかけてくれてたのはわかってたよ」


「今度旨い酒奢ってくれよR!じゃない、今はボスか!サケトバもいっしょにな!」


「それと嫁さん紹介しろ!アビゲイルに紹介したい!」


「わかった」



少し泣きそうになる


いつかはバラさないといけなかったがこんなタイミングが来るなんて思ってなかった



「国会議事堂に向かってる奴らはそのままでよくないか?」


「どういうことだ?」


「聖騎士部から人が行ってるし一般信徒は捕まってもいいが聖騎士が手を出さなければどうとでもなる、彼らが居ることで日本政府への圧になる」


「それにその間に収束させよう、もう襲っているターゲットは仕方ないにしてもさっさと回収して城に撤収するまでの時間稼ぎにするべきだ」


「わかった、吾郷にもそう伝えよう、現地の人間に圧はかけてもいいが絶対に衝突は避けるように伝達!」


「わかりました!!」



安藤を引き渡す予定はない


その間に安藤を改心させてみせよう


そして今も日本中からこちらに連れてこられようとしている反レアナー派の議員達、さぞ政府のスキャンダルが多く詰まっているだろう


状況がどう転ぶかは分からないが政府への切り札は増やしておいて損はないだろう



特に安藤、どんな手を使っても情報は吐かせて見せる


最低でも二度と反抗しないように反省させなければならない


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