【完結】少年神官系勇者―異世界から帰還する―

第259話 牢屋に入れられた黒葉と不審集団と一緒の遥

「大人しくしろ！」

「武器を降ろせ！！」

「て、抵抗するな！」

武器を突きつけられたがそれよりも後ろのミルミミスさんが怖い

武器を持った人たちも手を上げた私なんかには全く見向きもせずミルミミスさんを恐怖の顔で見ている

ミルミミスさん魔力の圧が私にも伝わってくる

「黒葉、全員殺す？」

「だめっ！」

それはだめ

これ以上なく目立ってしまうしこの国の人は敵ではない

なにかの誤解だと思うし、きっと話せばわかるはず

そんな誤解で殺しちゃいけないしミルミミスさんが人を殺すところを見たくはなかった

「武器を渡せ！！」

武器や道具を渡して話し合おうか？でもこの人たちがまともに話せるのかはわからない

誤解ではなく強盗集団なら？

元杉神官が言うような「どこにでも居る腐った集団」かもしれない

どうせ攻撃力はない、ゆっくりした動作でムチを逆手にとった

逆手に持ったのは敵意がない現れである

「待てっ！」

「エシャロット様？」

「・・・・・武器は良い、お前らも武器をおろせ」

子供のエシャロットが大人の兵士に指示している？

私に聞こえないように兵士に何かを耳打ちした

「ついてきてほしい」

「ど、どこに？」

「牢屋、俺も一緒に入るから」

「な、なんで？」

エシャロットは兵士の後ろから私達を中心に武器を構えた空間にズカズカと歩いてきた

ガムテープによる拘束はそのままである

「・・・怖けりゃ俺の喉にナイフを当ててでも良い、どうする？」

「わかったわ」

地下にある石造りの牢屋

少しかび臭くて金属製の格子が牢屋であることを物語っている

ちょっと写真を撮りたい気もするけど今はそうも言ってられない

もっと緊張するのが普通なのかもしれないけどミルミミスさんが居るからか安心できている

牢屋には私とミルミミスさん、そしてエシャロットが入ることとなった

強面なビーツやラディッシュお姉さんの示す領地に行くことにした

ラディッシュさんが豊満な胸の横からなにかの棒を取り出して咥えた

「ゴルルルル」

「*****　***　**」

犬笛？ルールが嫌そうに反応した

私もハルバードをしまったがかわりにショートソードを収納袋から出す

まだ信用しきってないぞという証だ

巨大な鳥が上から現れた

建物の下から悲鳴が聞こえる、

超大型の鳥だ、無理もない

鷹のような見た目で焦げ茶色をしている

乗るようにジェスチャーされるが私はルールに乗った

ビーツさんやラディッシュさん、子どもたちはその鳥に乗った

鳥の背中はおじさんのクルージングに使っていた船舶よりも大きい

子どもたちも楽々乗れていた

「ピーッ」

「コルルルル」

なんか話し合ってる、大きな熊のようなルールが小さく見える

建物の下の騒ぎが大きくなっている、兵士のような武器を持つものも増えたし急ごう

ルールに乗って空を疾走っていく

鳥をルールは少し気に食わなさそうだ、いやビーツたちを気に食わないと思っているのかもしれない

外壁の上には弓を構える人もいたけどあっさりと壁の外まで出ていくことが出来た

ルールは気合を入れてか鳥を振り切るように空を疾走っている

鳥もすごい速さで追ってきているが人が１０人以上乗っているからかルールのほうが速い

このままこの人たちを無視して離脱しても良かったけどチーテックもルールも最低限信用しているようだし速度を落としてついていく

そのまま３時間ほどすると壁が見えてきた

目的地はここか？

「ルール、鳥の上に行って」

「コルルル」

並走してラディッシュお姉さんに目的地か聞こうと思った

が、ルールが鳥の背中に乗った、グワンと揺れる鳥の背中

「******！！****！***！！！！」

「******　****　******！****！！」

「**！！！*******！**　****」

「ルール！乗るんじゃなくて並走！横を走るの！」

「ルルル」

飛ぶ瞬間に鳥の背を蹴ったルール、ぐらつく鳥

叫ぶ子どもたち、小太りのおじさんとか真っ青だ

「**　***　*****！」

「*********レアナー*********！！*****　***　**！」

「******！！！***********ヨウスケ！！！****！！！」

「*******！****　****」

「*********************！！！！」

「ごめん！？」

子どもたちから更に悲鳴が上がった、そうだよね、命綱なしだもんね！？

落ちそうになってる子も居る

「ルール！助けてあげて！！」

振り落とされそうな子供の服をルールが噛んで捕まえた

親猫が子猫を持って移動するときのようなあれだ

「******！！！　*********！！！！」

怖いよね？ごめんね！？

そのまま指さされた立派な建物に降りる

なんとか街に降りてみるがルールは反省の色がない

「こらルール！」

「ナ”ァ”」

不服そうだ、この子たちに怒ってたもんねルール

「おやつ抜き！反省しなさい！！」

「ミ”ャー！」

伏せて足におでこをこすりつけてくるルール

上目遣いで私を見上げてくる

・・・・・・・・・う”っ

でもあの鳥の背中からの飛び上がり方はわざとだしなぁ

「おやつは・・・ぬき、でもご飯上げる」

「ルルルルル！」

日本製のカリカリだ、今のルールの好みはカニカマ味

猫に甲殻類ってダメじゃないの？って思ったがペットフードのメーカーが作ってるカリカリだし問題はないだろう

ルールお気に入りのお皿に２キロの袋を開けた

味変に塩分カットされた猫用の鰹節といりこを載せておく

あと猫用のお菓子の小袋のカリカリもふりかける

・・・・・・あ、いつものご飯になっちゃった

怒らないといけないのに

「おすわり、お手、おかわり、ターン、ふせ・・・・良し」

「ルルルル！」

ビーツがこちらを見ている

犬耳だからだろうか？なんか変な気もする

なにか街の人と話し合ってるがなんなんだろうか？町の中央の建物に降りたし領主様とか出てくるのかな？

ルールがすぐに食べ終わったので片付けてラディッシュさんについていく、ビーツは怪しいし信用しない

通された部屋に行くと

「奈美！！」

「遥？遥！！ルールも！」

「コルルルル」

奈美がいた、それも天蓋付きのベッドで寝ていた

ミルミミスさんは人の状態で身体を纏めて寝ている、無事でよかった・・・！

「大丈夫だったの？！ヨーコは？」

「えぇっと・・・」