第83話 魔王討伐後


ヨウスケが魔王を倒した、後は国に帰るだけだ


とは言えどこの国にも守護神はいるし魔王討伐は感知してるだろう


凱旋は華々しく行きたいところだがこちらも被害は大きく、一番の功労者であるヨウスケはいない


ヨウスケは俺たちを陽動にして魔王を城ごと【清浄化】で討伐していなくなった


ヨウスケは幼く、それを見かねた多くの神々が加護や祝福、恩恵を与えた


何十もの勇者が散っていき、魔物の世となろうとしていた



新たに召喚されたヨウスケはこの世界の住民ではなかった


それも戦闘に特化した勇士というわけでもなく成人もしていない、刃物一つ持ったことのない、ただの子供


稀に異世界から勇者は召喚された記録はこれまでにもあった、だがなんの力もない子供で皆はがっかりした



ただ、ヨウスケには才能はなくても器があった



神々の力を受け入れるにはその身を鍛え上げ、祝福や恩寵、恩恵を受け入れられるだけの器を整えること、これは常識である


だがヨウスケは出会ったときには多くの加護を受け入れた器であった


ただ一つの加護でさえ人は塵のように砕け散ることがある、よく何度もあの激痛に耐えられるなと尊敬する



力を与えられたヨウスケはひたむきなまでに戦い続けた



串刺しになったままでも、身体が上下で半分になっても


ヨウスケの直接的な武力は加護を使っても一流以下である


戦闘訓練すら見たことのない少年だったのだ、技術を習熟するには時間がない


だから俺たちがいた、勇者とはいかないまでも英雄として讃えられる俺達がいればヨウスケを助けられる


ヨウスケは俺たちを助け、俺たちもヨウスケを助ける


ヨウスケが捕まっても死にさえしなければ誰かが助けに行き、俺たちもヨウスケの【治癒】で助けられた



普通なら耐えられないような痛みを一日に何度受けてもヨウスケは心が折れることはなかった


クソ貴族の裏切りによって磔にされたり、俺たちを人質に1月もの間も棒で打たれたこともあった


俺なら耐えられない、身体は治ったとしても先に精神が死んでしまう


どうしてそこまでやるのか聞いたことがある



目標があるんだって言ってたな



アンデッド系の魔王を城ごと【聖域】で閉じ込め【浄化】を打ち込み雑魚を一掃、【神の裁き】を使って魔王を完封勝利したらしいヨウスケ 


ヨウスケの戦闘の邪魔になるアンデッド系以外の魔王幹部共を釣って離れた場所で戦っていたのだがそれでも膨大な力が走っていくのは見えた、相変わらず馬鹿げた力だ



戦いが終わるとヨウスケはいなくなっていた




国に帰ると派手に出迎えられた


これでまた何十年か何百年か平和な世の中となる


王女様はヨウスケがいなくなっていたことを悲しんでいた、明らかに狙ってたもんな、童子趣味め、いい年なんだから諦めろ


神殿に行くとレアナー様が出迎えてくれた、ヨウスケのことを聞くとやはり帰ったらしい、レアナー様の分体を連れて・・・


かわいそうに、ヨウスケは今でも苦労してるんだろうな・・・・・



ま、まぁ魔王と相打ちになってなくてよかった、うん、強く生きてくれ


歴代魔王の死体は大きな魔力の塊となる、おそらくそれをつかって伝承にある異世界「青き地球」に帰ったのだろう



ヨウスケを気に入っていた聖獣様たちはがっかりしていた



俺もがっかりだ、やつの子供なら生んでみたかったのにな


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