第49話 黒葉奈美の最高と


何でもします


気軽に言っていい言葉ではない


だけど親友のためなら何だってしようと思ったんだ



思っただけで口にすること無いじゃない・・・!?


遥はひとつ上で別の学部の先輩だ


大学で見かけたときは派手な女の子や優しそうな男の子と一緒にいたりと派手なグループにいた



自分には関係ない



確かなにかの講義のレクリエーションで同じだったのが初めてだった


口下手な私の意見なんか聞かない人も多い、だけど遥は私の言いたいことを不思議なほどに読み取ってくれて、私の考えどおりにレクリエーションは進んで最優秀賞をとれた



私の手を取って喜ぶ遥に私は惹かれた



うん、私ちょろいって思う


レクリエーションで一緒だっただけで、学部も学年も違う私と仲良くなれるなんて高望みもしなかったけど、とにかくその時は嬉しかった



「1人?よかったら一緒に食べない?」


「は、はい」



1人でお弁当を食べていると遥が来て私の卵焼きを褒めてくれて・・・いつの間にか一緒に行動するようになった


馬鹿な考えだけど彼女のためなら借金の保証人になってもいい、ふとそう思えるぐらいには彼女を大切に思ってる


そんな彼女が階段から落ちて、治せない病にかかって、彼氏が浮気して、私がやらかして、学内で遥がボロカスに言われて、春樹ってクズに殴りかかったのは最近の話だ

あっさりいなされたけど



ご飯も喉を通らずにどうにかできないかと調べた



なじられてもいいからと遥に会いに行こうとも思ったが遥が嫌だったらと思うと玄関も開けられない


そんな時に見つけた怪しい情報で世間を騒がす光るビルに行き、どう見ても怪しいビルに現れた怪しい神官と出会い、何故かヤクザのところに行った


怪しいビルに行って並んだだけでも私はいっぱいいっぱいだったのに私の心臓が破裂しなかったのは凄いだろう



遥の命運以前に私の命が風前の灯火であったかもしれない



しかし眼の前で凶悪そうなヤクザを何人もあっさり倒して、今にも死にそうな怪我人や病人を目の前で治してしまったんだ、希望を持たないやつは頭がおかしい


しかも普通ではありえないような剣だって何もないところから出していたし魔法も使っていた


もっと魔法っぽく呪文とかを唱えたりするかと思ったけどそれはしていなかった


首元に入墨の見える病気のおじいちゃんが入墨もなくなって病気も治った


老人が何人も振り回してたのには全く実感が沸かなかったが



ヤクザの家で失禁しなかったのだけは褒めてほしい



遥のところまで行こうとしてて、うん、余計なこと口走って、それから覚えてない、限界だったもんな私、うん


なにかの高笑いで目がさめたら全身ガチガチに固定されてて、お空の上


神官様越しに今まで見た遥の中でも一番綺麗になってる遥がいた


ちょっと顔も赤くて、大学で一緒にいたときよりも健康そうで、婚姻届を持っていったときとはまるで違っていた


あ、これ夢だわ、なんて思ったけど遥に大福を食べさせてもらって完全に夢じゃないと確信した、いや半分ぐらいかな?妖精みたいな女神様とかいたし



「間接キスですぅ」



キス?誰が?誰と?WHY?・・・・・私ぃ!!!??


こんな性格だし人と恋沙汰になるなんて考えたこともなかった、いや神官様はカッコ可愛いし、ヤクザのおじさんたちをボコボコにしたときなんか胸がドッキドキした


飛んでる神官様の負担になってるらしいと聞いてゾッとした、落ちれば死ぬ


落ちないようにしてくれてるようだけど神官様に思い切り抱きつく



・・・・あ、何だろこれ?



あまり嗅いだことのない、少し男の人の汗の匂いが漂ってきて、それでいて、自分の胸の鼓動に気がついた


しっかり体を寄せると、小柄な体ながらにしっかりと男の子ということがわかる



そのまま遥の家について泊めてもらった


女友達とは言え一緒の布団で寝るなんて小学生以来か


私は背が高いしベットを大きく占領してしまい、身を小さくしてしまう



私にとって唯一無二の親友がこうして治って、私のことを許してくれて目の前にいる



「婚約者なんだって?」



そう言うと吹き出して、赤くなって照れてる彼女がかわいくて



少し胸が痛む



「わ、私を治すために仕方なくよ!」


「え?」


「私を治すのに神様の条件ってのがあって、それで私を治すために結婚しなきゃいけなかったんだって」



私は胸の鼓動で恋を確信した



ダメなのに・・・・・!



今夜は寝られないな、なんて思ってたが自分で思った以上に疲れてたみたいで


今日何があったかを遥と話してたはずがいつの間にかまどろみに落ちていた

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