春樹君のダンス事情
人形さん
第1話
それは常夏の蒸し暑く、エアコンを常に使う事でしか生きていられない、現代人のとある日。人間だったら、過労死をするしかないくらいの稼働率を記録しているエアコンさんは、俺のゲーム生活を応援してくれているだろう。
・・・お駄賃は電気代で。
「うぉ!! なんであそこから出てくるんだよ。カジュアルで隠れるバカが居るか?! 突っ込めよ! 銃をぶっぱしながら!」
訂正。
この度はエアコンのみ辛いように表現して申し訳ございませんでした。エアコンと同等もしくはそれ以上の稼働をしている、パソコンに謝罪と謝礼金をわが社から出しますゆえ、憤怒する気持ちを抑えていただけるとありがたく思います。
改善としましては、労働環境の変化を実施いたします。
具体的にはエアコンを今以上に稼働させることで、排熱をサポートしていきたいと考えております。
ピピ。その音はエアコンの温度を何となくの良心で28度にしていた、事を忘れしっかり23度まで下げた音であった。
「あ~アイス合ったっけな。」
今日ほど、暑い日は珍しいだろう。最高気温40度を超えるのは本当にここが東京なのかと疑問を持ちたくなる。こんなことなら今年開催の東京オリンピックを日本じゃなくて他の、地形的にも、気温的にも、経済てきにも良い所でやってくれた方が、選手たちは良いんじゃないのか。
そんな疑問が真剣に出てくる。
だって、4年?に一度しかない、スポーツの祭典を微妙な雰囲気で終わらしたくないし。それに、選手たちにいやな思いをしてほしくない。
と、余談話の様に、語ったそれは俺に取ってはそこまで重要な事ではない。
だって、俺スポーツやっていないんだもん。
いやさ、例えばサッカーとかをやっているなら別のもっといい場所が有るだろ!とか、東京で試合をやるなら俺でも身に行ける!とか色々議論出来るかも知れないけど。
スポーツ経験0の俺には全く分からない。
いや、最低限の日本の心が有るのか、選手の表な医者ちゃんとしとけよ。とか、思うけどスポーツ自体にはそこまで興味はない。
あ、でも、eスポーツなら、興味あるかも。
ゲームやってお金を稼げるなら興味は出てくる。ゲーム好きだし。
と、そんな時。
俺はそのダラダラした足で階段をおり、冷蔵庫まで足をすすめると、驚愕した事実がそこにはあった。
「アイスがねぇ」
昨日の帰り。友人とあそびに行った帰りに、俺は今日食べる用のアイスを買ったはずなのだ。
それも、ちょっとお高い……ハーゲンダッツを!
俺のバイト代をはたいて買った、そのお高いアイスが無くなっている事実に、俺は一つの可能性を見出した。
いや。確実にそれだ。
完全にアイスの口になっており、俺の体はその可能性を疑おうとはしない。
「妹!!!! 俺のアイスを食ったか!!!!」
二階に上がり、俺の隣にある部屋にノックもせずに入って行った。
「ちょ!お兄ちゃん何!」
「俺のアイスを食ったか!」
その時の俺の目は、火の鳥をも殺せるほどの鋭さであっただろう。
おれの様子に何事かと、座っていた椅子から飛び立った妹は何の何のことか、理解が出来ていない様子であった。
「何のこと言ってんの?」
「俺のハーゲンダッツはどこに行った?」
「知らないって」
俺の様子に蹴落とされた様子はもう無くなり……それでも分からないの一旦張り。その様子に疑いを持ってしまうのはしょうがない事であろう。
でも、さっきゴミ箱をチラ見したが、それらしい物は入っていなかった。
それに、ゴミ箱の嵩もそこまで行っていないから、箱の下の方にあると言う事は無いだろう。
……もしかして、妹ではない?
その判断が出来たのは直ぐであった。
ただ、それでは時すでに遅し。もう、妹の肩を掴んで問いただす姿勢まで入っていた。
あ、違う。
そう思った時にはもうこの誤解は凶器となっていたのだ。
「・・・」
妹よ。そんな目をしないおくれ。たとえ、「これ、妹ではなくね?」と気が付いた事を察したとしても。俺にその目は効くんだよ。
その妹の目は、さっきの俺の様子と類似するような威圧感があった。
殺される!
「申し訳ございませんでした」
それは光よりも速かったであろう。妹の肩から手をどけて、一歩下がり膝を地面につけ頭を下げる。
その土下座は光よりも早く、大統領の謝罪よりも誠意がある。そんな気持ちでやった土下座は、たまたま、もしくは俺の気持ちが伝わったのか妹はため息を着きながら許してくれた。
「私の分のアイスも買ってきてね。」
この言葉を残して。
仕方がない。疑ったのは俺なでその行為は大変下劣な行動であった。こんな事と言っては誠意が見えないが、アイスを買う事で妹の機嫌を取ることが出来るのであれば容易いことである。
一つ300円もする高級アイスを買うのは痛手ではあるが。最近バイトを始めた俺にかかれば少々の傷で耐えるだろう。
☆
と言う事で、少し外に出るついでにアイスを買う事にしました。
ただ、こんな暑い中、アイスを買うためだけに外に出るのはもったいない。
『渋谷』
そう言う訳で渋谷に来ました。
予定は有りません。なら、なんで渋谷に来たかって? 楽しいんじゃないかなって思ったからです!
いや、外に出る予定なんて無かったし。
急に作れるほど陽キャでもないし。
まあ、趣味がFPSの俺には外と言う物は家とは隔離された異次元の様な場所だと思っているからな。
「早く帰りてぇ。」
渋谷に来たのはいいが、あまりの暑さに歩きたくない。
このままだと、何となく入った喫茶店から出る事すらできなくなりそうだ。
何かをやるために出てきたと言うのに、このままだと、コーヒー飲んで帰る事になりそうだ。
いや、別にアイスを買うついでに来ただけだから、帰ってもいいんだけどね。・・・少し高かった電車代は消えるけど。でも、それに関して言えば社会経験だと思えば何とでもなるしな。
「なんか降ってこねぇかな。」
な〜んにもやりたくない。受動的に動くのであればそちらの方がいい。
例えば、美少女が落下して……いやだって、本当に暇なんだよ。そしたら想像しちゃうじゃん。
自分が主人公になって可愛いおなごたちとイチャイチャしながら世界を救う物語を。
でも、残念な事にここは喫茶店だから何も降ってこないんだよな。天井が着いていても降って来る物は無いのかな?
そんな一日を潰してしまいそうな妄想は突然終わった。凄い大事かと言われればそこまでではあるが・・・降ってきたのだ。
「きゃ!」
女性が。
あまりの衝撃に脳がフル回転を始め、何が起きたのか、一瞬で理解できた。
女性は俺が座っている椅子に足を引っかからせてしまい、倒れてきたのだ。そのせいで、上からお多被さるように……まるで降ってきているかのように感じた。
びっくりしたが、流石俺の反射神経。
体勢を立て直しながら女性を受け止めることに成功した!
あの一瞬だけは火事場の馬鹿力によってスローモーションのように見えていた。
まあ、倒れてきた女の子を胸でかかえるようにキャッチすることができてどちらとも怪我をする事無く、無事終えることができた。
「大丈夫ですか?」
その女の子をみると、俺よりも身長が低い。もし、俺よりも高身長だったらヤバかっただろうな。
抱えることができなかったかもしれない。
それにしてもこのこ可愛いな!いや、犯罪みたいになる言い方だったけど、他意はないよ。
本当に単純に可愛いだけ! 女の子とこんなに至近距離になる事なんて今まで無かったし、それにここまで触れ合う事なんて、学校ではそもそもあんまり話しかけてこないし。
「ありがとうございます!大丈夫?」
連れと思われる女性は、転んだと思った瞬間体が固まってしまい一切行動が出来なくなっていた。
まあ、予想外の事が起きたのだからしょうがないと言えばそうなんだけどね。・・・でも、直ぐに動き出して真っ先に心配をしている事から、優しい人ではあるんだろうな。
「・・・・」
それにしても・・・この子、俺が受け止めてから全然動かないな。もしかして、どこか怪我でもしちゃったかな。
ガン!っとは当たってないけど、あの勢いだったら痛かったのかな。
いつまでたっても動かなそうなので、胸からはがして顔を見てみる事にした。
え?動かないんだけど。
「気絶してる……どうしよう。」
俺も連れの女の子も、呆然としてしまっている。転んでしまったけど俺が受け止めることが出来たから、何ともないだろうと。そう思っていたけど、現実は違ったみたいだ。ちゃんと気絶している。
・・・いや、どうしたらいいの?おれ気絶の時の対処法なんて知らないよ?救急車を呼んだ方が良いのかな?
「ち、近くに知り合いのお店があるのでそこに行きましょう。」
俺が慌てふためいているときに、連れの女の子は状況が分かったのか、ちゃんとこの状況に対処してくれようとしている。俺は何も出来そうにないので女の子を担いでそのお店に行くことにしてた。
・・・一応おんぶみたいな形だけど・・・警察のお世話にはならないよね?ここ渋谷だから通報されたら直ぐ警察来ちゃうよ。
まあ、こんな状況だからしょうがないと言えばしょうがないので恥じらい心は捨てて、そのお店に女の子を 届ける事だけに注力する事にした。・・・体臭とか大丈夫かな。
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