第8話 お買い物

 オレたちは水路から帰りギルドに向かった。


「えっ? スライムが水路をなるほど......

 そうだったんですね。  

 ありがとうございます!

 これ報酬ですのでお納めください」

 

 そういって受付のお姉さんは1万ゴールドのお金を渡してくれた。


「さあ、帰るか!」


「早く、お腹ペッコペコなんだから」


「そうだな。

 魔力も回復せねばなるまい」


 オレたちは宿にもどりながら話しをした。


「さて、何を買おうか、やっぱ装備だな。

 鎧とかほしいし」


「なにいってんの!

 あたしの服に決まってんでしょ!」


「お前は賭けに勝ったお金で服かってんじゃん」


「あの額で足りるわけないわよ。

 バカね」


「オレとベルは一着なんだぞ!」


「あたしの服はサイズがなくて特注なの! 高いの!

 女の子とあんたらモサオと同じなわけないでしょ!

 そんなだからモテないのよ!」


「ぐっ! 痛いとこつきやがる!」


「決まりね! まああんたらにも一つずつぐらい、アイテム買ってあげてもいいわ」


「......しゃあない、じゃあ明日武具屋に行くか。

 まあ、仕事をすればいいだけだしな。

 新しい必殺技グランブレイクが使えるようになったから、より楽に仕事ができるからな」


 オレが剣を抜いて言う。


「シンジ、あまりグランブレイクは使ってはならん」


「ん? 何でだよベル」


「グランブレイクは魔力を吸収させねばならんし、放出にも魔力を必要とする。

 無理に使えばお主は死ぬ」


「ええーー!!

 それは先にいえよ!」


「だから、全力で使うなというただろう。

 明日より魔法を教えるから、なるだけ使うな。

 使うのはどうしても使わねばならんときだけだ」


「......わかった」


 オレたちは宿にもどり食事をとって眠った。



 次の日、オレたちは武具屋にきていた。

 無数の剣や槍、盾、兜、鎧などがところ狭しと置かれている。


「一杯ある迷うな。

 やはり鎧か盾かな」


「お主は盾は使わぬ方がよい。

 筋力がないから片手だと剣を振るう力がなくなる」


「確かに......

 だったら鎧か」


「鎧も重いから非力なあんたには胸当てぐらいじゃない」


「そんなことないわい!

 どれ着てみてやろう」


 オレが鎧を試着すると、重すぎてヨタヨタうまく歩けない。


「ギャハハ!

 なにそれダサーイ!」


「それではいくら防御力があがろうと危険だな」


「う、うるせえ。

 確かにこれじゃ動けんか.....

 仕方ない胸当てにしとこう。

 ベルは何にするんだ?」


「そうだな。

 さすがに魔力感知だけではなく戦闘もできるように剣だな。

 魔法だけでなく、お主に剣技も教えねばならんしな」


 そう言って剣を探すベルを見て。


「なあ、ベルお前なんでオレに剣とか魔法とか教えてくれるんだ。

 お前を封印したのは人間だろ。

 恨んでないのか」


「封印か......

 まあその辺は詳しくきかんでくれ。

 ただ人間を恨んでなどいない。

 単純にお主には伸び代があるゆえに育てているだけだ」


 メルアが頬をひじでつつきながら小声でいう。


「あんた察しなさいよ。

 人間に封印されたなんて恥ずかしいでしょ」


「そうかな。

 あいつがそんなこと気にするタイプとは思えんが」


「あんたはそういうデリカシーがないのよね。

 あたしにはわかるベルの哀しみがね。

 やっぱりそういうのは人生経験がないとわからないもんなのよ」


 メルアがどや顔で話す。


「我はこのショートソードをもらおうか」


「そんなのでいいのか、安物だぞ」


「かまわん」  


「あっ! あたしはこの指輪ね」


「お前も買うのかよ!」


「当たり前よ」   


「服買うんだろ!」


「それはそれ、これはこれ、あたしは魔法担当なんだから、回復に攻撃あんたたちにできないでしょ」


「まあ、よいのではないか。

 確かにメルアはこのパーティーの要だからな」


「ね。

 さすがベルわかってる。

 バカシンジわかってない」


「うるせえ!

 で、その指輪なんだよ」


「知らないわ。

 魔力をもってるけどなんの効果かわからないわ。

 ただデザインが気に入っただけ。

 これは古代文明の紋様よ。

 多分古代魔法技術でつくられてるわ。

 レア物よ。 レア物」

 

 こっそり耳元でそう言うと腰に指輪をはめる。


「ホラぴったり!」


「もういいよ。 会計するぞ」


 会計して店をでた。


「指輪が一番高いじゃないか」


「当然よ!

 あたしがこのパーティーのリーダーなんだから、逆らうと追放するからね」


「うるさい妖精にパーティーを追放されたので魔王と強くなりました。

 かえってきてといってももう遅い、にしてやろうか!」


「やれるもんならやってみなさいよ!

 魔法なしでモンスターとやりあえるならね!

 べー!」


「ほほほ、仲がよいのうお主たち」


「どこが!」



 オレとメルアの声が重なった。


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