外伝1 へラクス・シィーニャとメメント

「今回の新人はまさかの勇者様か、2日前に姉のメィーニヤから連絡があった時はびっくりしたな、悪い子では無さそうだ」


私はアオの印象を1人で口にだしていた、毎回新人が入って来た時にはあの悲惨な死を迎えた女の子の話をする、そして私は思い出す、あの日の4年前事件の事を...。


「シィーニャ!シィーニャ!起きてよ!」


起きると緑髪の女の子が目に映る、この子は同期のメメント、平民ではあるが努力してこのユリカ魔法使い騎士団に入った、才能溢れる新人だ、王族の私にも怯まず仲良くなってくれた初めての友だ。


「おはようメメント、今日も元気だね」


そんな感じに仲良く共に生活をし、仲良くやって来たのだ、だが1年たったある日、副団長のビィレアルからメメントと私に街の見回りに行く様になったのだ。


「今日から君達には街の見回りに行って貰いたい、後最近不穏な噂が流れている様だから気をつけるように」

「はい!」

「は!」


街へ向かう準備を私がしていると。


「不穏な噂って何だろうね?でも解決したら私も副団長見たいになれるかな!?副団長も平民だし!」

「ああ、なれるさ!なら私は団長だな!」

「シィーニャは王族だし、近距離格闘も強いからなれるよ!いいなー近距離強いの憧れる〜」

「王族だけが使える、肉体強化魔法だからな、近距離格闘技術とは相性がいい」

「私もエイヤーって感じでやりたいな〜私は水魔法だからね!」

「メメントもなかなか近距離格闘得意じゃないか、投げ技は見事だぞ!」

「えへへ」


そんなこんなで、私達は街の見回りに出たのだ。


「お店がワイワイやってて見てるだけでも楽しいね!シィーニャ!」

「ああそうだな」


しばらく街の見回りを行って居ると、他のユリカ騎士団の団員が集まって、何やら話して居た。


「こんにちは〜」

「やあ新人ちゃん達かい、仲良く見回り頑張って居る様だね、この辺は私達も見回りしているんだ、何やらこの辺で剣士で盗みを働いてる奴が出るって噂でね、君達も気をつけた方がいいよ」


そう先輩達は言って来た、これが副団長が言っていた『不穏な噂』ってやつかと考えて居ると。


「キャー」

「店の食べ物が盗まれた!誰か捕まえてくれ!」


と声が聞こえたのだ。


「もしかしたら噂の盗人か!新人ちゃん達も協力してくれないかい?もちろん戦闘はダメだよ!見つけ次第報告してくれ!」

「よろしくね〜」

「はい!」

「はい!分かりました!」


こうして、盗人を捕まえる手伝いをさせて貰える事になったのだ。


「おそらく近くの路地に入っただろうから、私達は左から!新人ちゃん達は右から行ってくれるかい?」

「がんばるぞ〜」

「おー!」

「頑張ります!」


そして私達は右路地から犯人を追い詰める事になったのだ。


「早速犯人逮捕出来るかも私達!」

「でも戦闘はするなよ?」

「分かってるって!」


彼女は分かっていなかったのだ、本当の戦闘とは何かを。


「あ!犯人居たよ!」

「チィ!」

「じゃあ予定通り先輩に報告だ」

「でも...私がやっつけちゃうよ!『ウィンドランナ』」

「あ、待って!」


そうメメントはいい、魔法を使い走って行ってしまったのだ。


「あーもう!あの子は!」

「スピードブースト!」


肉体強化魔法スピードブースト、肉体の全体的な速度を上昇させ、思考スピードまで上がる優れた魔法だ、これであの子に追い付く!


「ヘッ、言ってた割には大した強さじゃなじゃねぇか!」

「うっ」


見るとメメントは盗人に捕まってしまって居たのだ。


「こいつがどうなってもいいのか?これ以上近寄るなよ?」

「メメント!」

「ごめんなさいシィーニャ...」

「じゃあな!」


そう言って、盗人は逃げて行ったのだ。


■■■■■


「新人ちゃん!どうしたの!?もう1人の子は!?」

「連れていかれました...あの子は先走って行って盗人に捕まってそれで...」

「分かったわ...私達が後は何とかするから、とりあえず貴方はフラワーガーデンへ帰りなさい」

「でも!」

「でもじゃない、貴方には申し訳ないけど、待って居て貰える?」


私は泣きながらフラワーガーデンへ帰った、帰り道の記憶はあまり無い。

そうして私が寝ずに待って居ると次の日に呼び出しがシャイニ団長からかかったのだ、団長室へ入るとそこには団長と先輩達が居た。


「シィーニャ落ち着いて聞いて欲しい、済まないが手遅れだった様だ」

「え?」

「彼女達が見つけた時にはもう死んで居たらしい...あまりいいたくは無いが...盗人のおもちゃにされた様だ」

「え、えあ」


そこからの私の記憶は曖昧にただそこに立っているだけだった。


「シィーニャちゃんにもメメントちゃんにも申し訳ないけど、助けられ無かった、団長から名前は聞いたよ、辛いだろうけどメメントちゃんの分も頑張って欲しい」

「よしよし」


そして私は先輩達に抱き締められたまま号泣したのだった。


メメント見ているかい?私が団長になったんだ、こうして部下もたくさん居て、私は上手くやっているよ、私はもう2度とメメント見たいな子はださない。

窓の外を見ると綺麗な紫色をしたデュランタの花が花壇で綺麗に咲いていた。

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