第22話 食材半減



 冷蔵庫の中の食材は、全滅ならぬ半滅していた。


 生物はもちろん駄目になっていた。


 あとは、なぜか焦げついていた干物もだめになっていた。


 無事なのは野菜くらいだ。


 じゃがいも、だいこん、にんじん。


「それお隣さんからおすそ分けしてもらったものだね。あんまり料理しないから、どうしようかと思ってたんだけど。まさか生き残っていたのが、野菜だけだとはすごいね」


 何がすごいって、何もすごくないのだが。


 この人の考える事はよく分からない。


「油も調味料もない……ですって。一体どういう食生活!?」

「エルンさんエルンさん、性格かわってないかい?」


 冷蔵庫を調べてみて怖いのは、食材を調理するための調味料らしきものがまったくないと言う点だった。


 この人普段、どうやって夕食の時ご飯を食べているのだろう。


 保険医はにこやかに笑いながら、「ごはんなんて食べれるならなんでもいいと思うよ」と発言。


 まさか、食材を生で食べているのだろうか。この人。


「いや、さすがにお肉は火を通しているけどね」


 それは、火を通しているだけ、ともいえる。


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