02-08 螺旋の勇者なる者は。
クリスを導いていた声が、“それ”を認識した瞬間に途絶えた。剣を握る手が震える、喉奥から差し迫るそれを噛み殺す。それを傷つけるわけにはいかないとクリスは強引に剣筋を逸らしなんとか着地するも、振り返った時には既に絶望が覆いかぶさろうとしたところだった。
レザーナが持ち出したそれは女性の形をした妖精だった、薄桃色の髪にかつては透き通っていたのであろう白い肌。鎧を纏ったそれは確かに一目で妖精騎士と分かる出立ちだ、だが、今はそれが命取りだ。
「フォスキス……!?」
「大正解〜! 妖精って死ぬと森に還っちゃうでしょ、それってもったいないな〜って思ってさ。友達の見様見真似でお人形にしてみたの、どう? 可愛いでしょ!」
流石に死体をこうやって持ち出されることまでは想定していなかったのか、ニコラスの動揺が音になって霧を揺らす。レザーナが抱えるフォスキスの人形とやらは、ぱっと見は確かに美しくは見えるもののよく見てみれば作り……と言っていいのか分からないが、部位の継ぎ目が荒い。そこまで観察し始めてクリスは目線を逸らした、それ以上見てしまえば今度こそそれをそれとして認識できなくなる気がしたからだ。
なんということを……と悲痛に満ちたパスカル王の声が聞こえる、あっちもこっちも周囲の妖精たちを捌くので手一杯でセルバの元に向かうにも此処からはあまりにも遠すぎる。
「うまくできたしお人形師の友達にあげようかなって! でもあげる前にセルバちゃんに見せたかったんだよね。――だってこの子をこんなに綺麗な状態で手に入れられたの、あなたのお陰だもん」
「え、な、何を言っているのだ!?」
レザーナが笑う。まるで新しく作ったおもちゃを自慢するように。
「魔王様の花嫁のためにアクセ作れ〜って親方がうるさくってさ、いい素材が欲しかったんだよね。で、前々から気になってたエルフの女王さまのこと思い出してさ。古の英雄様ってことは取れる素材もすごくいいってことでしょ? だから眠ってるセルバちゃんから素材をもらお〜って里を襲ったんだけど、なぁ〜んかめちゃくちゃ勘がいいフォスキスちゃんが先手打っててね〜」
嫌な予感が確かな道筋になって重なる。
間違いじゃない、けれど今それを聞かせるのは最悪だ!
「セルバだめだ!! 聞くな!!」
湿気と熱が霧となって周囲に絡まりだす、クリスの声がけも虚しく霧の中に飲み込まれていく。
「セルバちゃんの眠りの再生魔法を解いちゃってくれたんだもん、そんなことしたら妖精のフォスキスちゃんは死んじゃうのにね?」
それはフォスキスは約束の反故によって死んだことを意味していた。
妖精は王との約束を守れなければ死んでしまうが、フォスキスとセルバはそれでも問題ないと293年前にお互いを守り再会をするという約束を交わしている。それによってフォスキスは293年もの間生きながらえセルバを守り続けてきた、が今回の魔の針の騒動でフォスキスは自らの手でセルバとの約束を破っていたのだ。フォスキスは何が起こるかわかっていたはずだ、しかしそれをセルバに理解できる余裕はない。
「あ、あぁ……」
「まあフォスキスちゃんが起こしたセルバちゃんをすぐさま冷凍封印しちゃうし、も〜〜〜〜って思ったけどよくよく考えたら時間稼ぎされただけだし? フォスキスちゃんのお人形なんてレアものも手に入ったわけで? これってある意味セルバちゃんの約束のおかげでしょ、だから絶対見せてあげたかったの! 起きるのまで待つのは退屈だったけど、美味しい素材がその辺にうじゃうじゃいたしね」
「あああああぁあああ――――……!!」
慟哭が森に響く。
「いかんっ、セルバ!! セルバ=ラ・レクス!! 感情に呑まれては土地に殺されるぞ! セルバ!!」
パスカルの声も霧に飲まれセルバには届かない。
腐り始めた地面に膝をつき、頭を抱えて呻く少女がそこにいる。
「わたしのせいだ。わたしのせいだったのだな。あぁ、フォス、みんな、あああ、あああああ」
「あれ、いじめすぎちゃったかな。そんなに大事ならちゃんと手元に置いておけばいいのにね」
「レザーナ!! 貴様ァ!!」
「あはは、怒ってるニコラスくんはかっこいいね。でも〜だいぶ眠いんじゃない?」
彼女に連動して霧が深まる。霧は白く重たく塗り重なり、一向に圧力として伸し掛かる。握っているはずの勇者の剣が重い、息がうまくできない。チラチラし始めた視界の中に意識が遠のいてくのを感じる。けれどもクリスは剣を地面に突き立て耐えた、周囲にここにはないはずの者たちが見え始めていたが今は些細な問題だった。が、しかし霧はさらに重くなり精神に侵食する幻覚が牙を剥く。
「う、ぐ……!? 足が、動かな……っ」
「っ、なんじゃ、意識が……」
「!? パスカル! ニコラス!? 二人とも大丈夫か!?」
『いけないっ、霧の効力が強まっている! くっ、エナが強すぎる。使い魔を保てない……! クリスくんっ情報送ります!! 歯を食いしばって!!』
「ッ――――!!」
頭の中につぎ込まれる情報の圧に、クリスは意識が揺れるのを感じていた。
◆
森が生み出した幻覚の霧によって静まり返ってしまったその真ん中、セルバは茫然とへたり込んでしまっていた。弓を握る手が動かず、足に力が入らない。セルバには何が起こってしまったのかがわかっていた、この霧はセルバ自身が生み出していたものなのだ。王と土地の心は連動している、土地が傷付けば王は傷つき、王が傷付けば土地も傷付く。
セルバの心は戸惑いの霧の中にあった。目覚めてすぐに閉じ込められ約束したはずの友は不可解な行動をし、その果てに死んでしまっていた。自身と共生の関係にあるはずの妖精たちはセルバを襲い、森は腐り落ちていく。その霧が、とうとう力を持ってセルバの心から溢れてしまったのだ。
パスカル王も、ニコラスも、賢者も、……勇者クリスも。今はセルバの生み出した悪夢の霧の中で彷徨っていることだろう。自身の恐怖が形になる霧が彼らにどれほど恐ろしいものを見せてしまっているのか、セルバには分からない。だがきっと無事では済まないだろう。
これは、セルバをここまで追い込んだ瘴気そのものなのだから。
「みんな眠っちゃったわね、まあ仕方ないか〜女王様がこれだもの。霧が深くて何にも見えないけど、邪魔者がいなくなったって意味じゃラッキーかもね、セルバちゃん。そんなに泣いちゃうとは思わなかったのよ、ごめんね」
ただその中でも存在のあり方が違うのか、レザーナは霧の効果を受けた様子もなくさながら友人のようにセルバに話を持ちかけた。
「だからさ、取引しない?」
「な、にを……?」
「あたしはね、あなたの親指が欲しいの。親指の爪をネックレスに加工するの、薄荷色でとても綺麗になるはずだわ」
セルバにはレザーナが言っていることがよく分からなかった。それはとても常人には理解しがたい提案だったのだ。
「親指をくれたら、この森から手を引いてあげる。捕まえてる無事な妖精たちも解放してあげるし、倒れちゃったあなたのお友達も見逃してあげる。ね、悪くないでしょ? みんなみぃんな、助けてあげる」
考える力さえ尽きたセルバにはそれがどんなに危険なことかさえどうでも良く思えてしまっていた、親指を失えばセルバは弓を弾くことはできなくなる。それどころではない、293年前の戦いで授かったエルフの女王の権威……狩猟の神ネイルの加護を失ってしまう。そうなってしまえばセルバはネイル神との契約を破ることになる、王と妖精の約束が絶対であるように神と王の約束もまた絶対である、体が不完全体であるセルバが契約を捨てればその罰によって命を落とす可能性さえあった。
しかし、セルバはもうそれさえどうでもよくなりつつあった。
友は死んだ、だが今いる皆は助けられる。それだけが。
「本当、か? 本当なのか?」
「もちろん。職人以前に商人だもの、あたしは取引に関してだけは嘘はつかないわ」
「……わた、し、は」
それだけが、霧の中で光のように瞬いている。
それが光でもなんでもなく、ゆらめいている絶望への大口であろうことだってよくわかっていたはずなのに。
「フォス、すまなかった。せめてこうすることで償いを――」
セルバは霧の中手を伸ばす、差し出されたレザーナの手を取ろうとして……そして、その手はある声によって引き止められた。
「――その必要はないぞ、セルバ!!」
霧の中勇ましく轟く雷鳴のような光。
稲妻が奔る、その光はレザーナの手を打ち払うかのように爆ぜ魔の手を文字通り焼く。
「いっったぁ!? 何!? どこから!? っ、ちょっ嘘、手が……!」
レザーナの手には黒い杭のような針のような武具が突き刺さっていた。その武具にレザーナは目を見開く、針にはなんと毒が仕込まれていたのだ。どんどん変色していく手にレザーナはあわてて針を引き抜くも、彼女はその陰湿さに冷や汗を流していた。処断の黒針、魔族の中でも同胞を裁く異端審問しか扱わない暗器である。レザーナには咄嗟に理解できなかった、明らかに勇者一行ですと言わんばかりの気配をしていたものたちからこんなものが飛んでくることなんて想像できなかったのだ。
思わぬ不意打ちにあわてて周囲を見回す、視界の悪い霧の中今度は背中に処断の黒針が食い刺さった。
「があっ!? ど、どこ!? 出てきなさいよ!!」
「あぁそこか。ありがとう、“今行く“」
「っ!?」
気配が一気に動きだす、今行くという宣言の通りそれはすぐさま姿を表した。
それは、先ほど眠りに落ちたはずの勇者……幼いはずの勇者クリスだった。レザーナはさらに混乱した、十にも満たない人間の子供が黒針を握っているのだ。てっきりあのニコラスの隠し玉かと考えていたがそうではない、勇者だ、勇者があのような泥臭い武具を使った。おそらく霧の中でレザーナたちの距離を特定するために、だ。
「クリス……!? どうして、」
「は? え、なんで!? なんであんたが起きてるのよ!? 土地が生み出した悪夢の濃霧よ、勇者であっても人間に効かない訳が……ッ」
「効いてるよ、今でも見えてる。あたり全部が殺してきた連中の肉塊だらけだ、助けられなかった人たちだらけだ」
そう、実は本当にクリスは悪夢の霧の中に立ったままだったのだ。クリスの目の前には今でも朱肉の大地と、吐き気がするほどの死の臭いが漂っている。それはクリス自身が経験した螺旋の勇者としての旅の、試練の記憶だった。
何もかもが乾ききり全てが滅びた大地でただ一人、死ぬことはおろか狂うことさえできない神の加護を授かった勇者。いつかくると言われていた魔神の復活のために訓練されていた勇者たちはとうに心枯れて壊れていき、クリスだけが正気のまま勇者の剣を手に戦い続けた確かな記憶。余り物と呼ばれ、ただ一人で戦いに没頭し続けた血の通ったそれは……多くのものを取りこぼしながら最後には七年前の今に逃げ出した。
憎む声が聞こえる、恐る声が聞こえる。怒号が、悲鳴が、慟哭が、クリスの世界には鳴り響いていた。
「ひどいね、人が目をそらしてることを目の前に出す霧か。生きてたら絶対引っかかるよな、わかるわかる」
「だったらなおさらおかしいじゃん! あんたなんなの!? 頭いかれてるわけ?」
「そうかもね、でも」
クリスは決して眼前の罪
「これが僕の現実だ」
そして、産み
「クリス、だめなのだ、そのまま見続ければ心が壊れるのだっ! わたしがどうにかする、だからッ!」
「そいつに親指を差し出して?」
「そうなのだっ! わ、わたしがわたしを諦めればいいだけのことなのだ! もうそうすることでしか償えないっ」
「あぁもう、本当に二人とも不器用で嫌になるなぁ!! 君を守るために命を賭けたフォスキスのことも考えろよ!?」
「ッ――!?」
悪夢の霧を振り払いクリスはセルバに呼びかけた、自分へ向かう悪意よりも今はセルバのことが大切だったのだ。そしてこの森に入ってからクリスを導き続けたフォスキスの想いを裏切るわけにはいかない、裏切らせるわけにはいかない。
「自分だけが傷ついてみんなが助かる? バカ言うな、そんなの苦しいに決まってるだろ。セルバ、きみが一番分かっているじゃないか」
フォスキスはレザーナの襲撃を受け、その目的がセルバの肉体にあることを察知すると自身が最大限できる防衛をとった。フォスキスはレザーナの目的を明確にわかっているわけではなかったが、それゆえに全力を賭さなければならなかった。休眠中のセルバを奪われ、完全体のセルバが魔の手に落ちることだけは何がなんでも阻止しなければならなかったのだ。それはレザーナだけではなく、“全く他のものへの警戒策“だったのだ。
「そんなことをするのは本気で死ぬ時ぐらいで十分なんだよ」
フォスキスはレザーナを含む魔族の猛攻に死を悟ると、セルバの眠りを覚ますことを選んだ。少なくともそれで眠りによる修復は止まり、完全体のセルバが奪われることはなくなる。そこからは時間との勝負だった、セルバに再度凍結封印を施し外からの救援に全てを託した。あの凍結封印は、フォスキス以外にはニコラスにしか溶けない魔法だった。
「褒められたやり方じゃないんだよ、本当に。でもな……!」
フォスキスは本当の意味でニコラスに全てを託し、自身の全てをセルバを守るために使った。
セルバと、セルバを抱く世界そのものを護るための約束を利用した自殺。フォスキスは友だけでなく世界を見ていた。
セルバが生きている世界全てが愛おしかったから、彼女は何の躊躇いもなく死んだのだ。
「フォスキスはきみを傷つけてでも守ろうとしたんだ、それだけは事実だ。嫌になるだろうけど認めてやってくれ、逃げないでやってくれ」
彼女のした選択をクリスは正しいとは思わない、だが間違いだとも思えなかった。彼女はあまりにも大きな愛を持って、その全てに報いたのだ。だからこそクリスはセルバに真実を伝えることに躊躇した、心が弱りきったセルバにこの真意を教えればセルバはフォスキスの想いに潰される。言えるわけがないだろう、お前のために死んだなんて。
だけど、だからと言ってこんな形で誤解されるのはもっといけない。真意を知るのは後でいい、だけれどそうまでしたフォスキスの想いを無駄にすることなんてできない、生きろといった、生きてほしいとずっと言っていたのだ。
今のセルバには重すぎて受け取れないだろうけれど、いつかのセルバに受け渡すためにも生きてもらわなくちゃフォスキスが浮かばれない。
「──フォスキスがきみを恨むはずがないだろう……っ!」
霧の中心部へと手を伸ばす、セルバの瞳が揺れている。瞳の中に星が見える。
「戻ってこい、セルバ=ラ・レクス!! きみが立ち直れるその日まで、僕が代わりにその星になってやる!!」
だからさっさと目を覚ませ!
「――――!!」
――セルバは星を見ていた、それは先ほどまで囁いていた甘い誘惑とは程遠く見つめていると痛みさえ感じるほど鮮烈な光だった。あぁ、しかし、それでもセルバはその痛みを伴う光から目を離せない。どうしてかは心のどこかでわかっていた、セルバはそれでも王だ、どれほど自分が愚かなことをしているのか痛いほどよくわかっていたのだ。それでも目を逸らしていたかった、だのにこの霧は目を逸らすなと言ってくる。正しい選択をしろと囁いてくる。セルバはそれが辛かった、耳を塞いでしまいたかった。
けれども、それよりもなお痛烈な光が霧の先に在る。霧が晴れれば目の前が見えてしまう、けれども光はただそこにあった。囁くのではなく、待つのだと。お前を、待つのだと。待っていてくれるその光に、セルバは星を見た。
セルバは立ち上がった、そして走った。いつの間にか霧は消えてしまっていた。
「クリス……!」
霧が晴れたことによって眠りの里の無惨な姿が露わになる、自身の心の弱さが森を腐らせた。それでも、セルバはクリスの手を取った。クリスはセルバの手を握り返し、そしてすぐさまセルバを守るように前へと一歩踏み出し勇者の剣を構えた。
「ごめんセルバ、きみがフォスキスのことを誤解しかけたの二割ぐらい僕のせいだよな。うまく言えなくてごめん」
「いいのだ。……何が起きたかは、なんとなくわかるのだ。でも今は、聞くのが怖い。クリス、その時まで待っていてくれるか……?」
「いいよ、だから死なないで。待ってるから」
もう誰にも悲しんで欲しくないのだとクリスは勇者の剣に力を込める。剣先でレザーナは面白くなさそうな顔で表情を歪ませていた。
「ちぇっ、心が持ち直したか。あーあーもう少しで“森も妖精も全滅“したのにな〜! でも、勇者一人で何ができるよ? そんな足手まとい抱えて出来ることなんてたかが知れてるでしょ!」
「へぇ、一人に見えるのか? 目玉変えてこいよ、得意だろ」
勇者らしくない饒舌な挑発にレザーナが牙を剥こうとしたその瞬間、二つの魔法が爆ぜた。
「《
「【
練り上げられたエナがレザーナの周囲を取り囲み魔法がうねりをあげて現出する。地面から飛び出した氷の鎖がレザーナを捕らえ、さらにその上から宝石の矢が雨のように降り注いだ。逃げ場を失ったレザーナはそれを全て身に受け悲鳴をあげる、宝石の矢はレザーナに喰い刺さり痛みを持って魔族を空中から引きずり落とす。
「ぎいいいっ!? 嘘ォ!? もう起きたっての!?」
その魔法は決してこの短時間には成立しないものだった。だがそれでも必要だと判断したのなら執念で練り上げる、そうできる人間がここにいる。
「いい啖呵だったぞ勇者クリスよ〜! セルバもよく持ち直したの! あとで目一杯褒めるからの、あと一踏ん張りじゃ!」
「寝ていた分は仕事をするぞ、ここで一気に仕留める!」
『ただいま戻りました、霧が晴れましたか。グッジョブですよ!』
悪夢から目を覚ましたパスカルとニコラス、そして霧が落ち着いたおかげで使い魔が戻ってきた賢者がセルバを守るように前へと飛び出した。パスカルもニコラスも顔色はひどいものだったが、それでも今は絶対に踏ん張らなきゃだめだというように強く武器を握りしめていた。
「パスカル王、ニコラス、賢者……!」
「寝起きですっ転んでもカバーしないからな!」
「善処する」
「ほっほ、そうそう連続で間抜けは晒さぬよ! ――絶対殺す、覚悟はよいか。魔の針よ」
闘気は殺気に等しく。
勇者たちは一人の友人として武器を取った。
「嘘嘘嘘ぉっ!? やだ、あたしめちゃくちゃピンチ!? ってかなんで妖精どもいうこと聞かないわけ!? ちょっとふざけんな! おい、こらー!!」
「愛想尽きたんだろ、お前なんかよりセルバのがいいってさ!!」
一気に傾いた場にレザーナは己の運命を悟り悲鳴をあげる。二人の勇者と一人の冒険者と賢者、そして小さなエルフの王。あと少しだった、あと少しだったのに!
欲張った革のドレスの魔族が叫ぶ、あぁ魔王さま、こいつらはやはり危険です。欲をかかずさっさと潰してしまうべきだった!
「こんな、こんなところで負けるのあたし!? あぁ魔王様ごめんなさい〜〜ーーーー!!」
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