袁紹との決戦に向けて準備を進めさせよう。
さて、公孫瓚が滅び、北方の袁紹と公孫瓚の戦いの決着がついたことで、現状の中華大陸の主な勢力は俺と袁紹だけになったと言っていい。
袁紹は司隸の河南と河内に加えて冀州・兗州・青州・幽州の西半分と豫州の北半分を抑えているが、幽州に関しては劉和を殺そうとしたということで住民たちに反発を受けているので、そこからの兵力を得るのは難しく、袁紹から見れば自分から離反して反乱を起こした劉和を倒さねばならない状態なので頭も痛いだろう。
まあそうさせたのは曹操を用いた俺ではあるが。
なおかつ幽州東部には公孫度が独立した勢力を持っている。
なので俺との戦いに全戦力をつぎ込むことはできない。
もっとも俺も揚州南部の山越を主に異民族対策としてかなりの数の兵士は揚州・荊州・益州・涼州・并州などに配置しなければならないが。
それでも全部で10万から20万になる軍同士の衝突となるだろう。
公孫度は幽州遼東郡の襄平の生まれで公孫度の父の公孫延は役人に追われる何かをしでかして玄菟郡に移り住んだ。
当時の玄菟郡太守は公孫域で、その子の公孫豹は年齢十八歳で早死した。
そして公孫度の幼名は豹といい、また公孫域の子と同じ歳だったので、公孫度は公孫域に可愛がられ、教師を就けてもらい学問を覚え、妻を娶らせてもらうことができた。
そして公孫度は公孫域の期待に答えて賊の討伐で功績を上げ郡吏に任ぜられた。
その後順調に出世し冀州刺史にまでなったが謡言を理由にその職を追われた。
その後は放浪生活を送っていたようだが、友人であった徐栄の推挙もあって、俺は彼を遼東太守に任じ送り出した。
ちなみに公孫と言う氏は諸侯の孫であるというものが名乗るものなので、公孫瓚と公孫度は血縁は無い。
日本で言うところの源氏が清和源氏や村上源氏など直接的には血縁関係がない一族だが同じ氏だったりするのと同じだな。
なお倭国大乱による卑弥呼の名前が出てくるのはこのあたりの時期で邪馬台国が今どこかに存在している可能性も高いのだが、今はそっちにかまってる余裕もないな。
卑弥呼は公孫度の繋類、要するに公孫氏の一族であったという説もあるがその真偽はわからない。
それはともかく俺は弟の董旻や息子の董超・董越、呂布などを、呼んで袁紹との決戦準備を進めさせることにした。
「うむ、よく来てくれた。
そしてもはや中華の大地に立つ人物は俺と袁紹のみとなった。
この期に及んでは小細工でなんとかなる状況ではなくなった。
故に決戦準備を整え、袁紹の本拠地である
俺の言葉にそれぞれがうなずく。
「わかりました兄上」
「了解です父上」
「お任せください父上」
「うむ、任せておけ養父よ」
皆がそう答えるのは本当に頼もしい。
「うむ頼もしいな。
俺は曹(操)孟徳を用いて裏で袁紹の配下を離反させる策は進めるが、表にはでぬつもりだ。
うまくやってほしい」
「わかりました兄上」
実際俺ももう53才だ。
俺の後継者として董超・董越も認められてきているし心配はなかろう。
袁紹はまだ自分が一番上にいるつもりのようだが、結構な年齢になってるのはあちらも同じだと思うんだがな。
年をとると判断力が衰えたり、自分と違う意見を取り入れにくくなったりしやすいものだ。
これは脳の機能の衰えによるもので集中力や感情認知能力、好奇心や計算力などが衰えてくる。
だからいつまでも一番上にいるべきではないのだよな。
無論、過去の経験を生かして若いものよりうまくやれる場合もあるわけだが。
それでも儒教的な認識も強いこの時代では年長者の判断や命令というのは重んじられたりするのだよな。
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