大体の勢力図は見えてきたか、羊続と言う変わり者
さて、洛陽や各地の県史などの俺の推薦枠で一度採用された者が、袁術が権力を握ることで、名家の子弟がその地位を手に入れるためと罷免されたりして、情報網が一部破壊されたりしたが、それでもそれなりに情報は入ってくる。
馬商人としてあちこちを行き来させたりしながら、現状の勢力図をまとめると大雑把にはこんな感じか。
まず自分である董卓
影響力を持つ地域は司隷西部の長安を含む三輔と涼州・并州西部・益州北部
涼州の羌族や月氏・巴郡の板楯蛮などの異民族ともつながりがある。
袁氏とのつながりは事実上切れてしまった。
ちなみに幽州の徐栄と公孫度が逃げ込んできている。
袁術
影響力を持つ地域は洛陽を含む司隷東部と豫州
天子(献帝)を擁立し、四世三公である汝南袁氏の地盤と権威も持っている。
仲間は妻が袁術の妹であり名家の弘農楊氏である「四世太尉」楊彪やその一族。
権力者ではなく漢室そのものに忠誠を誓ってる皇甫嵩やその一族。
知己であり名家の劉勲など。
その他にも四世三公として後漢時代の人材登用の方法の一つである「辟召」によって袁家の属官となれた者たちも彼を支持している。
袁紹
影響力を持つ地域は兗州と徐州。
古くから交流していた清流派士大夫と繋がりがある。
盟友は士大夫上がりの孔伷・劉岱・王匡・張邈・張超・臧洪・橋瑁・従兄弟の袁遺など。
劉虞
影響力を持つ地域は幽州
王族で民衆や烏桓など異民族の間でも人望がある
配下は公孫瓚だが異民族の扱いや軍の動かし方などが正反対
劉焉
影響力を持つ地域は交州
あまり積極的な行動はしていない模様
賈琮とは適当にうまくやっている模様。
劉繇
影響力を持つ地域は揚州
後漢皇帝家よりも由緒正しい家柄の劉氏
袁術(名目上は献帝より)により揚州刺史に任じられるが、結果的には袁術には従っていない様子
太史慈・孫邵・是儀などの同郷の人物が部下にいる
この頃、荊州の江夏で
荊州刺史の
代々二千石の家系で祖父の羊侵は司隷校尉となり、父の羊儒は太常となる名家である。
しかし大将軍の竇武の府に召され、竇武が倒されると、連座して禁錮されていた。
党錮の禁が解かれると、揚州の廬江太守となった。
後に揚州の黄巾賊が廬江郡を攻めて来たときには県内の二十歳以上の男子を徴発して、全員に武器を持たせて大いに黄巾賊を破った。
袁術は名家の出であると言うこともあって羊続を南陽太守に任命した。羊続は、南陽に入る際、くたびれた粗末な衣服とだけ身に着け、間道から南陽郡に入り、各地を見て回った。
羊続はただちに兵を動かして、荊州刺史の王敏とともに趙慈を討ってこれを斬った、五千余級の首を挙げた。
南陽のその他の県にいた残りの賊たちは羊続の下にやって来て皆投降した。
それは良かったのだが羊続自身はその後も常に破れた衣服を身に着け、粗末な食事を摂り、ぼろぼろの馬車に乗っており、贈り物を受け取るのを拒んだ。
この時代の父祖の権威のある家の者は、贅沢で華美を尊ぶ風潮にあったのだが、羊続はこれを深く憎んでいたらしい。
そしてその憎しみの反動か、羊続は常に破れた衣をつけ、粗末な食事をし、車馬は疲れ病んだままにし、質素な生活を起こっていたようだ。
そんなものだから袁術は羊続を太尉へと引き上げようとしたが、そのかわりの礼銭として千万銭の支払いを拒んだことで彼は南陽太守の職を罷免されたらしい。
「ふむ、ぜひ味方にしたい人物だな」
俺は南陽へ人を走らせて彼を迎え入れることにした。
そして彼やその妻や子供などの家族を迎え入れることができた。
南陽へは長安からは遠くないからな。
そしてやって来た羊続は本当にボロボロの服を着ていた。
そして、いきなり俺に言ったのだ。
「董将軍は私に銅銭を要求するつもりはないのですかな?」
「ああ、無論そんなことはしないさ。
無駄に民を苦しめるようなことはしたくない。
逆に俺の父は300石の県史だが、そんな俺の下でも戦ってもらえるだろうか」
「名家の連中などろくなものではありませんよ。
むしろあなたのような人の下で戦わせてほしい」
「うむ、それはありがたい。
羊(続)興祖殿よろしく頼むよ。
ただ食事はちゃんと食べたほうが良い。
そのままでは病で死んでしまうぞ。
医者に見てもらったほうが良いだろう」
「医者にかかれば、銭がかかりましょう」
「いや、医者には患者からではなく必要な金は俺たちが出してるから心配いらないぞ」
「なるほど、では一度診てもらうことにいたしましょう」
華陀に彼を診てもらったが、腹の中に虫がいるようなので虫下しを処方したようだ。
この時代だと生魚を膾にして食べるのが普通だからな。
荊州刺史の王叡は史実では孫堅にたいして無礼に待遇し、孫堅に斬り殺されてる男だからほおっておくか。
そして羊続がやったようなボロボロの服を身に着けた流民を装っての情報収集も今後は取りいれていくことにしたよ。
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