昏の皇子【KURA NO MIKO】

水奈川葵

プロローグ

 死ぬことは怖くない。


 ただ、思った。



 どうしてこんなふうに死ぬしかなかったのだろうか……


 どうしてこんな生き方しか選べなかったのだろうか……と。



 本当はもっとやりたいことはあったはずなのに。


 本当はもっと幸せになる道はあったはずなのに。



 どうして自分には、それを選ぶことができなかったのだろうか………





 ――――― きっと…助けるから……





 血が流れ続けて、冷たくなっていく体。


 重くなっていく視界。





 ――――― もう一度、会いましょう……





 最期まで。


 



 ――――― 今度こそ、あなたを救う……必ず……





 オヅマは自分の望みが何かもわからないまま、死んでいった。


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