第4話松の廊下
「吉良殿、吉良殿、お待ちくだされ」
「なんじゃ、浅野殿」
「明日、御勅使、ご到着の際、我々接待役は敷台の上で待つべきでごさいますでしょうか、はたまた敷台の下で待つべきでごさいますでしょうか?」
「浅野殿もお人が悪い。そのような事は先刻ご承知のはず。みどもに聞かずとも決まりきった事」
「吉良殿、どうにかお教え願いたい」
「浅野殿、かねがね噂は耳にしておったが、田舎侍よのう。この鮒侍めが!」
「くっ!」
「お、怒った顔がなんとも、バカな顔をしておるわい」
「言わせておけば、次々と罵りおって、吉良許さん」
「おっ、刀を抜くのか?城内で刀を抜けば即日切腹、お家は断絶。そんな、勇気があるの
か?」
「ええいっ!」
「おっ、刀を抜いたな!殿中でござる。皆のもの殿中でごさる!」
だれも、松の廊下にはいない。
「待て待て、浅野殿、今が一番の見せ所なんだから、刀を一応収めてくれ!最初から」
「浅野殿、刀を抜けるのか!」
「もう、我慢ならぬ!」
「おっ、刀を抜いたな!殿中でござる。出合え出合え、殿中でござる」
誰もいない。浅野内匠頭は吉良上野介をなます切りにした。
「歴史が変わってしまったわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます