第8話 大山鳴動して鼠一匹

 えー皆様、異世界ニュースのお時間です。


 二ヶ月ほど前、異世界ネット動画により配信され、全異世界現象にもなった話題、某異世界、某国、某山に未確認の鉱石が埋まっているとの情報ですが、今朝これがフェイクニュースだという事がわかりました。


 この某山には現地の人だけではなく、他の異世界住民達がゲートを開き、直接某山に続々と押し寄せ、山を勝手に掘り起こしてはゴミを持ち帰らずに散乱させる等をして、これが異世界問題になっていました。


 しかし、実際には未確認の鉱石等は埋まっておらず、そこには小さな家に60歳くらいの男性の鼠がひとりで住んでいただけで、偽情報に振り回された各異世界住民達は、口々に暴言を吐きながら自分達の世界に帰って行ったという事です。



 某山にひとりで住んでいた鼠

はつ』さん


「じゃ! びっくりしたべやぁ! ある日突然、あちこちに穴が空いたかと思ったらよぉ!? 色んな異世界の人達がどかどかと押し寄せてよぉ! 最初は何が起きたがと思ったじゃ!? そしたらそいつらが俺の畑を勝手に踏みあらしていくしよぉ!? 帰るときは一切ゴミも片付けねえし、泣いても泣ききれねぇじゃ!」



『初夏根津看』さんと野菜の取引をしている

』さん


「『初夏根津看』さんが丹精込めて育てる野菜はとても美味しいく、国内の人達にとても愛されています。その野菜を突然やって来た異世界人に踏み荒らされる等、言語道断としか言いようがありません。偽情報に振り回される異世界人も悪いですが、偽情報を流した本人にも『初夏根津看』さんの前に現れて土下座してほしい! そう思います!」



 ……『初夏根津看』さん、心中お察しします。


 皆さんも偽情報には充分、気をつけて下さいね。



 異世界ニュースのお時間でした。




 続きまして、イフリートの夜の火祭りの実況中継です……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る